【春ドラマ「女優進出組」の実力大分析】#6


 お笑いコンビ「蛙亭」イワクラ
  「MADDER その事件、ワタシが犯人です」(カンテレ・フジ系)
  数学教師・佐々木結希役


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 最近は若手女性芸人のドラマでの活躍が目立つ。3時のヒロインの福田麻貴は2024年に「婚活1000本ノック」(フジテレビ系)で主演。

丸山礼はNHK“夜ドラ”枠の「ワタシってサバサバしてるから」で主演して続編が5月5日からNHK総合で放送されている。


 24年1月期に放送された宮藤官九郎脚本の「不適切にもほどがある!」(TBS系)で主人公の亡くなった妻を演じていたのは、男女コンビ「蛙亭」のイワクラ。娘役は、朝ドラ「あんぱん」出演中の河合優実だった。


 そのイワクラが25年春は乃木坂46・五百城茉央の主演ドラマ「MADDER その事件、ワタシが犯人です」(カンテレ・フジ系/木曜深夜)で高校の副担任教師・佐々木結希役を演じている。


 イワクラにとって2度目の連ドラ・レギュラーだが、「不適切にもほどがある!」(通称ふてほど)では遺影と回想シーンのみの出演だったので、がっつり出演するのは初。今回は数学教師役だが、「ふてほど」でも大学生時代に教育実習生として主人公が教師をしている学校に来て見初められる設定だった。イワクラのたたずまいには、学校の先生っぽさがあるのかもしれない(蛙亭のコントにもイワクラが教育実習生を演じるネタがある)。


 1990年4月10日生まれ、宮崎県出身。NSC同期の中野と2012年に蛙亭を結成。「キングオブコント2021」でファイナリストとなって脚光を浴びた。


 イワクラが生まれたのは宮崎県小林市で、21年には「みやざき大使」に選ばれた。ここ数年、宮崎県出身のお笑い芸人が増えていて、今年5月1日には「アメトーーク!」(テレビ朝日系)でイワクラのほかにとろサーモン、永野、おかずクラブのオカリナらが出演して「こんなにいたぞ!宮崎県出身芸人」が放送された。


 県民性として宮崎県出身の女性は、素朴で温和な働き者だといわれる。ドラマの公式インスタグラムではイワクラが撮影現場で給食を前にピースサインをしてほほ笑む写真がアップされ、素朴な魅力を見せている。演技力に加えて素朴で前向きなイメージがあることで幅広い役柄がハマるはずだから、世間でのイメージよりもはるかに、イワクラの中には女優としての可能性が眠っているのかもしれない。今秋にスタートする次のNHK朝ドラ「ばけばけ」のヒロインを演じる高石あかりも宮崎県出身だ。


 お笑い芸人としてだけでなく、今注目の「宮崎県出身女優」のひとりとしてもイワクラに注目したい。


(高倉文紀/女優・男優評論家)


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