【春ドラマ「女優進出組」の実力大分析】#8
野呂佳代(元AKB48・SDN48)
「なんで私が神説教」(日本テレビ系)
世界史教師・大口美幸役
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今春の連ドラにはアイドル時代から女優としても高く評価されていた元AKB48センターの前田敦子が「人事の人見」(フジテレビ系)でヒロインを演じ、同じくAKB48出身の川栄李奈は「ダメマネ!」(日本テレビ系)で主演。「天久鷹央の推理カルテ」(テレビ朝日系)主演の橋本環奈も地元福岡時代にアイドルとして活躍していた。
その一方で、アイドル出身女優としては異色の道のりを歩んできたのが、「なんで私が神説教」(日テレ系・土曜21時)に広瀬アリスが演じる主人公の同僚教師役で出演している野呂佳代だ。
1983年10月28日生まれ、東京都出身。2006年、AKB48に2期生として加入(同期に大島優子・秋元才加ら)。2009年に結成された大人メンバーが土曜の夜に公演を行う新グループ「SDN48」に移籍してキャプテンも務めたが、地上波で生中継されて社会現象になった2010年の選抜総選挙はAKB48グループの一員でありながらSDN48のメンバーには参加資格がなかったことから一般的にはあまり脚光を浴びることなく(その後、卒業生でも資格を満たしていれば参加可能になった2013年の総選挙に立候補するものの圏外)、SDN48は全メンバー卒業という形で2年後に活動停止となる。
ソロになって、最初にバラエティーで人気を集めたことから、「自称女優」的にイジられることが多かった。
しかし、2020年代に入った頃から連ドラレギュラー出演が増えて、2024年は4本の連ドラで活躍したほか、NHK大河ドラマ「光る君へ」にも出演。親しみやすいビジュアルとキャラクターで世間の支持と共感を集め、今や「自称女優」とイジる人はいないだろう。
今年4月に「タレントパワーランキング」WEBで配信された「40代女優ランキング」では10~60代男女の認知度と関心の高さを示す誘引率のデータから算出されるタレントパワーランキングにおいて、40代女優15位にランクインしていることが発表された。13位に江口のりこ、同率15位が水川あさみら、まわりは主演女優ばかりだ。
野呂佳代は助演のイメージが強いけれど、視聴者と同じ目線のヒロインとしての可能性も秘める。
ここ数年は松本まりかや松本若菜が30代で地上波連ドラに初主演したが、この先、野呂佳代が連ドラで主演することがあれば(WEBドラマでは2019年に主演)、40代での初主演の快挙となる。
(高倉文紀/女優・男優評論家)