【桧山珠美 あれもこれも言わせて】


 20日「うたコン」(NHK)は昭和・平成にヒットした懐かしのアニメソング特集だった。


 幕開けは「あしたのジョー」(1970年)。

御年81歳の尾藤イサオの熱唱にクギ付け。これが当時聴いていたよりもさらに声が出ていて、おまけに歌い終わりに「ジョー~」と大絶叫。とても81歳とは思えない。本人いわく「長生きするロックンローラー、尾藤イサオでございます」。内田裕也亡き後のロックンローラーの継承者がここにいたか。


 続けて、岩崎良美が「タッチ」(85年)、天童よしみがいなかっぺ大将の「大ちゃん数え唄」(70年)、高橋洋子が新世紀エヴァンゲリオンの「残酷な天使のテーゼ」(95年)を披露した。


「40年経った今もちびっこがカラオケで歌ってくれる」という岩崎。今では「珍島物語」より盛り上がるのが「大ちゃん」という天童、「アニソンは国境を超えるパスポート」と高橋。海外に行っても日本語で一緒に歌ってくれるそうだ。1000曲以上、アニソンを歌ったレジェンドの堀江美都子も登場、「キャンディ・キャンディ」(76年)と「ひみつのアッコちゃん」(69年)を歌った。



天童よしみは「いなかっぺ大将」

 子供の頃に見ていたアニメということもあるけど、いい歌だと正直、思った。とにかく歌詞がいい。

「あしたのジョー」など歌詞がちゃんとストーリーになっていて、それだけでアニメの世界観が伝わる。作詞を手掛けたのは寺山修司。「ひみつのアッコちゃん」も共作ではあるが、作詞を手掛けたのは井上ひさし。そりゃあ染みるはずだ。


 それに比べ、今のアニソンはメロディー重視で歌詞など二の次三の次、たまにキャッチーなフレーズを入れときゃいいって感じか。何を歌っているのか不明なことも。


 そんな世代間ギャップの番組はさまぁ~ずがMCの「ミュージックジェネレーション」(フジテレビ系)や「ハマダ歌謡祭」(TBS系)などでこちらもZ世代に置いていかれないようにと意識的に番組を見たりもするが、心底いいと思ったものはまだない。


 もっとも、若い人にとってはアニソン特集と思ってテレビを見たら「いなかっぺ大将」かと。半世紀以上も前の歌を歌われてもとなるのかも。いやZ世代は見ないか……。


「ゲゲゲの鬼太郎」(フジ系)が「私の愛した歴代ゲゲゲ」としてゆかりの著名人がセレクションしたエピソードを放送している。


 オープニングはもちろん不動の「ゲゲゲの鬼太郎」、原作者水木しげるの作詞だ。


 歌うはAdo。スタイリッシュで悪くはないのだが、やっぱり初代の熊倉一雄がいい。吉幾三や憂歌団、泉谷しげるや氷川きよしも歌ったが、熊倉にはかなわない。


 昭和ブームとか平成ブームなんてちゃんちゃらおかしい。こちとら、その時代を生きてきたんだと思ったりして。


(桧山珠美/コラムニスト)


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