【私のおふくろメシ】


 流れ星☆


 今年で結成25周年を迎えるコンビ「流れ星☆」が10回目となる単独ライブツアーFINAL「大炎回」を行う。会場にはおかんも駆けつけるというちゅうえいさんとたきうえさんに「おふくろメシ」を聞いた。


  ◇  ◇  ◇


ちゅうえい 地元の岐阜や名古屋でライブをやる時はいつもおかんが来てくれる。


たきうえ 下呂(岐阜)の公演の時はおかんどころかちゅうえいのお兄ちゃんも。実はお兄ちゃんは会場のスタッフとして働いているので、ステージの袖を見ると音響を担当しているちゅうえいのお兄ちゃんがいる。


ちゅうえい おかんは友だちとかもいっぱい連れてくる。田舎育ちで、いろんな人が僕を育ててくれてるから。僕の中ではみんな親みたいな感覚です。


たきうえ ステージから「ちゅうえいのおかん、手をあげて」と言うと5、6人の手があがった。どういうことだよ!? って。


ちゅうえい おかんはまんま俺。嫁は本当にそっくりと言っている。性格的には楽しいこと優先。やらなきゃいけないことより楽しいことを率先してやるのもそっくり。

福岡にライブのために行った時に、どうしても食べたい豚骨ラーメン屋があった。ところが、行く時間がステージの時間とかぶっちゃった。それでも、豚骨ラーメンを優先しようとしてマネジャーと大喧嘩!


たきうえ あの時は俺もブチ切れた。俺とマネジャーがコイツの腕を引っ張って「おまえ、ここまで何しにきたんだ!」って。そしたら「ラーメン食いにきたんだよ」だって。


ちゅうえい おかんのご飯で一番はピーマンを炒めたヤツ。でも、それをどうやって作っているのかわからない。ピーマンをザクッと切って、何時間かわからないけど炒める。ただそれだけ。うまみたっぷりのちっちゃいピーマンの塊。それをご飯にのせて食べると、これがバカうまで。食べた嫁が「これは何だ!」ってビックリ。

鰹節が入っている気がするけど。相当ムズい。おかんにレシピ聞いて、嫁が作っても何かが違う。


たきうえ おかんにインタビューした方が早いんじゃない? コンビ組んでからちゅうえいのウチに行って、おかんの料理を食べたことはあるけど、ピーマンはない。あっても気持ち悪くて食べないと思うけど。


ちゅうえい (怒)。あれは心を許した人にしか作らない。


たきうえ やかましいわ。


ちゅうえい おまえはどうなんだよ。


たきうえ おかんはドラマじゃないけど、本当に「話が長い」。性格は頑固で怒りっぽい。僕はそんなおかんに「似ている」と言われる。

子供の頃からくだらないことでよく喧嘩してた。おとんは婿養子でおとなしくて。おとんは僕に似てイケメンです(笑)。両親は共働きでおとんは理容師、おかんは美容師。基本はおじいちゃんおばあちゃん子で、おばあちゃんがご飯を作ってくれたけど、おばあちゃんもおかんも料理がヘタ。おばあちゃんが作るカレーはしゃぶしゃぶみたいだった。


ちゅうえい 味噌汁なんか豆腐に煮干しが突き刺さってたもんね。


たきうえ ダシをとった煮干しをそのまま入れて出すから。僕が育ったのはメチャクチャ山の中の田舎。町へは下りていくみたいな感じ。同級生もたった6人。要するに大自然の中で育ちました(笑)。

楽しみだったのはとんちゃん焼きという郷土のおかず。豚のホルモンを味噌やニンニクとかの特製のタレに漬け込んでいるのかな。ビニールの袋に入ったとんちゃん(※)。入り口を銀の留め金で縛って売っている。


ちゅうえい 金魚すくいの袋みたいな。留め金のところを切ってバシャッと鍋に入れる。


たきうえ それをグツグツ煮て、おかずにしてご飯を食べるとうまい。残った汁はうどんを入れて締めに食べたり。飛騨高山地方に行くとスーパーで売ってます。


ちゅうえい コイツ、煮るというけど、僕の場合はホットプレートで焼くことが多い。もんじゃを食べた時に焼けてどんどん水分が抜けて、カリカリになっていくイメージかな。



食べ物の共通の好みはラーメン

たきうえ 俺たち、2人ともラーメンの好みは一緒です。

ハマっているのはラーメン二郎系。飛騨地方出身だから、ラーメンの基本は中華そばみたいな高山ラーメン。だから、ラーメン二郎のあの味の濃さは衝撃的。2人とも最初に食べた時は吐いたぐらいで。


ちゅうえい 脂っこさに体が驚いちゃった。


たきうえ でも、それからハマっちゃった。


ちゅうえい 食べた後で戻したのは洗礼だね。下北沢で毎日路上コントをやっている時期に、近くの新代田駅に店ができたんですよ。そこにはオープンした時からずっと通ってました。


たきうえ 別に待ち合わせていないのに、並んでいるとちゅうえいがいて。ただ、お腹を下すことがある。僕らは「今日は男の子の日」って言ってました。


ちゅうえい ある時流れ星☆の特番ラジオがあって、ラーメン二郎の話を1時間しゃべりました。


たきうえ それも同じ話を3回も。


■たきうえのウニぎり、ちゅうえいの竹の雫


たきうえ 全国ツアーは今年が10回目。全国津々浦々に出かけると楽しみなのが打ち上げです。一番記憶に残ってるのは北海道の居酒屋で食べたウニぎり。おにぎりの具がウニとイクラ。2人とも感動して、ちゅうえいはあの後、ウニぎりの写真をスマホの待ち受けにしていました。


ちゅうえい 僕にとっての一番はタケノコ。番組で京都にタケノコ掘りに出かけたことがあります。竹を半分に割り、その半分を斜めにし、上から炙ると中の水分が上に浮いてきて垂れる。それが雫になって下にポツポツ落ちてくる。それを日本酒に入れて飲むんだけど、日本酒が好きじゃない俺でも竹の味がしてムッチャうまかった。それでとれたてのタケノコの刺し身を食べたら、魯山人の気分になりました。地方に行ったらとにかく食べ物が楽しみです。


たきうえ 全国ツアーが始まってちょっとして結婚を発表した時のことは覚えてます。ツアーを企画してくれているお偉いさんに「何、やってくれたんだ」とこっぴどく怒られた。「イケメンが結婚したら、お客さんが減る」と言われて。でも、結婚は影響がなくて、逆に動員が増えました。つまり、全然人気がなかった(笑)。ちょっと複雑だったけど。


ちゅうえい 今回はネタ的にはウニぎり。俺がウニでおまえがイクラみたいな。


たきうえ うるさいな。おまえはネタ作ってないだろ! 最後の単独ライブツアーなので、久々にザ・流れ星☆という漫才を見せようかなと思ってます。王道の流れ星☆です。全部は完成していないけど、プロットはできている。


ちゅうえい 面白いネタができていますよ。


たきうえ おまえ、他人事じゃねえか。


ちゅうえい 俺は旅を楽しみたい。


たきうえ ツアーのことを旅って言うな。


ちゅうえい 名古屋公演にはおかんや親まわりも見にきます。ピーマンを持ってきてくれると信じています。


(聞き手=峯田淳)


■おかんのピーマン
〈材料〉
ピーマン 10個
だしのもと 3グラム
砂糖 15グラム
醤油 18グラム
みりん 少々


〈作り方〉 
①油でピーマンを炒めてフタをし、そのまましばらくほったらかして柔らかくする。
②だしのもととみりんを入れ、軽く炒めた後、砂糖と醤油を入れてまた軽く炒める。
(水は一切使わない)


※材料は国産豚の大腸、小腸、直腸、胃袋、レバー、ハツ、味噌、水飴、砂糖、醤油、ニンニク、唐辛子などのとんちゃんのたれ、本鷹唐辛子、ハバネロ唐辛子など。購入したのは岐阜・御嵩町、藤よしの「元祖みたけとんちゃん」の狂辛味噌漬け


▼流れ星☆(ながれぼし☆) 2000年にコンビ結成。ちゅうえい=1978年7月生まれ、岐阜県下呂市出身。たきうえ=岐阜県高山市出身。


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