【あの有名人の意外な学歴】#10
岩田剛典
(36歳/三代目J SOUL BROTHERS)
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「いかにも慶応っぽくて、塾員(慶応大卒業生)の間ではすごく評判がいいんです」と証言するのは慶応同窓会の中央組織「連合三田会」の役員の一人。誰のことを語っているのかといえば、先日EXILEパフォーマーの活動を終了すると発表した慶応OBの岩田剛典(36)についてである。
「EXILEといわれても僕ら70代以上になると、よくわからないんだが、朝の連ドラに出てからは、慶応の仲間みんなが注目するようになった」(同役員)
昨年度前期の朝の連ドラ「虎に翼」に出演。「育ちの良さがにじみ出ていて、好感が持てた。さすが我が慶応」との声が塾員の間で広がった。慶応には企業経営者の家に生まれた御曹司が少なくない。岩田もその一人。父・達七は高級靴メーカー「マドラス」(本社・名古屋)のオーナー社長。創業104年の老舗である。やはり慶応出身だ。
岩田は物心がつく頃から、母に慶応に行きなさいと繰り返し言われてきたという。将来はマドラスの社長を継いでほしいとの思いがあったのだろう。「慶応の人脈網は他校では絶対に真似できないほど強固。
名古屋の市立小学校に通っていた岩田少年は、中学受験のために学習塾に行き始める。成績はトップクラスだった。母の期待通り、慶応普通部に合格。上京し、母と2人で暮らすことになった。「母思いの岩田ですが、反抗期だったのか、口げんかをして壁を殴り、穴を開けてしまったこともある」(芸能記者)という。
内部進学した慶応義塾高校ではラクロス部に入り活躍。U-19ラクロス日本代表の候補にもなった。3年生の時に見た「RIZE」という米映画が人生を変えることになる。ロサンゼルスのスラム街でダンスに人生をかける人々を描いたドキュメンタリーだ。慶応大法学部に進むと迷わずダンスサークルに所属。クランプと呼ばれるストリートダンスに熱中した。
とはいっても、ダンスで食べていくような発想はまったくなかった。就職活動もやっていた。すでに内定をもらっていた4年生の7月、ダンスを通して知り合った二代目J SOUL BROTHERSのメンバーのNAOKI(小林直己)から声をかけられる。三代目のオーディションがあるから受けてみないかというのだ。
とにかくトライしてみることにした。まだ、その時は深く考えていなかったのかもしれない。もし合格したら、内定をくれた企業に断りを入れなければいけないことも、あとから気づいた。岩田は内定者たちのLINEグループのリーダーもやっていた。9月に岩田の合格が発表された。母に伝えるとショックで泣き崩れてしまったが、もはや引き返すことはできなくなっていた。
現在、岩田はマドラスの1ブランドでクリエーティブディレクターを務めている。将来、家業を継ぐのか、ずっと芸能界で生きていくのか、悩ましい選択が待っている。
(田中幾太郎/ジャーナリスト)