真空ジェシカの川北茂澄とガク、ヤーレンズの楢原真樹と出井隼之介の冠番組「真空レンズ」(テレビ東京)が今月5日深夜にスタートした。


 同番組は、“お仕事覗き見情報誌”の編集部員となった2組がロケVTRを見ながら、企業の裏側を深掘りしていくバラエティーだ。

初回は、ママタルトが記者として転職支援会社アサインに潜入し、急成長を遂げる企業ならではの特徴に迫った。


 冒頭から、川北がおでこに第三の目を描いたうえ自作した三つ目用のメガネ姿で登場して「ちょっと開眼しちゃって」とボケをかまし、企業名・アサインに反応した楢原が「夜アウトだったら知ってる」とボケれば「朝インの逆?」、ガクが「マジメニマフィンとかドドん」とボケれば「浅井企画じゃないです」と出井がツッコミで存在感を見せる。


 ロケVTRが始まると、アサインに関連する情報をクイズ形式で展開。とくに“No.1エージェント・長谷川さんの特技は?”との出題で、出井が「寿司はせ川経営」、楢原が「オープンザプライス」、川北が「いつまでもアサインが転職の入り口でありますように」と島田紳助氏(本名・長谷川公彦)にまつわる3連コンボを見せたシーンは腹を抱えて笑った。


 ママタルトの大鶴肥満が、エージェントとのデモ面談で趣味の野球ゲームについて熱弁したりサックスを演奏したりと奮闘し、「自由度の高い商材を扱う営業職」が向いていると助言されて「博報堂に(入りたい)」と口にしていたのもほほ笑ましい。何より親しい間柄の3組だからこそ、カチッとした企画が程よく崩れる面白さが出たのではないか。



バラエティーでの立ち居振る舞いが独特なコンビという意味でも共通

 今や「M-1グランプリ」の顔となった真空ジェシカとヤーレンズ。ネタが面白いのはもちろんだが、バラエティーでの立ち居振る舞いが独特なコンビという意味でも共通する。


 衣装や小道具、メークなどでとっぴな世界観を打ち出す川北、小ボケを延々と繰り出す楢原に対し、相方が乗っかったりフォローしたりするイメージが強い。ロケであれトークであれ、ほとんどストレートな発言をせず隙あらばボケ続けるのが彼らの特徴だ。


 一方で、川北は2年連続で大喜利特番「日本で一番早いお笑いバトル!フットンダ王決定戦」(日本テレビ系)の王者になり、ガクは「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)の売れっ子芸人15人を対象とする“大学お笑いが選んだ好きな芸人GP”で2位に選ばれた。ヤーレンズはラジオでカリスマ的な人気を博し、ファーストサマーウイカがガチのファンであることを公言している。


 実力者ではあるものの、とても万人ウケを望んでいるようには見えない。そして、それが魅力だとわかってはいるのだが、テレビの真ん中で活躍する姿を見たいとも思わされる。何とも奇妙な2組だ。 


(鈴木旭/お笑い研究家)


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 真空ジェシカの真骨頂は、その「無為自然」ぶりにあるのではないだろうか。関連記事【もっと読む】真空ジェシカ川北茂澄は無理やり何かに合わせず「フザけていたいだけ」なのだ…では、その極意に迫っている。


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