【今週グサッときた名言珍言】
「ピンの方って席を自分でつくってません? 売れてる方」
(友田オレ/フジテレビ系「さんまのお笑い向上委員会」7月5日放送)
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芸歴3年、23歳で今年の「R-1グランプリ」(フジテレビ系)で最短芸歴・最年少優勝をはたした友田オレ。そんな彼が、先輩芸人から「ピン芸人の枠は埋まっているからピン芸人はやめたほうがいい」と言われ、返した答えが今週の言葉だ。
友田は子供の頃からテレビっ子だった。よく見ていたネタ番組が「そこそこチャップリン」(現・すっかりにちようチャップリン=テレビ東京系)だというのが、新世代感がある。高校の頃に憧れたのも、霜降り明星だ。
福岡出身の彼は「なんとなく上京したいけど、何も頑張るものがない」「どうやって上京するの?」(日本テレビ系「にけつッ!!」2025年7月1日)と悩んでいた。そんなとき、聞いたのが早稲田大学にすごいお笑いサークルがあるという情報だった。それが「お笑い工房LUDO」だ。つまり、サークルに入るために早稲田を受験したのだ。
そんな彼が頭角を現すのは早かった。YouTubeに「私の彼は左きき」を替え歌にしたネタをあげると、SNSで大きな話題になった。すると数カ月後、GATEという事務所からスカウトされた。ベッキーや森カンナらが所属していて、いわゆるお笑い芸人事務所ではない。「お笑いをやるなら大手は嫌でした。
入所した23年にいきなり「ABCお笑いグランプリ」(朝日放送)の決勝に進出する快挙も果たした。
「若いし、学歴もあるし、教育系のバラエティーに向いているのではないか」(テレビ東京系「あちこちオードリー」25年7月2日)と、NHKにハマりたいという友田。冒頭の番組では、俳優も歌手もできるから、お笑いを離れたほうがいいと言われ、「他のこともやりたいですけど、お笑いもやりたい」と答えている。
芸人の枠にとらわれず、三谷幸喜の作品にも憧れているし、何よりも憧れているのは、米米CLUBのカールスモーキー石井だ。
「米米CLUBが青春というか。ずっと憧れていた方で、雲の上の存在」(吉本興業「FANY Magazine」25年3月9日)
あれだけのムーブメントを起こせる人もいないから、いつか石井さんと一緒に仕事をするのが目標だという(「FRIDAY」=前出)。すぐにでもかなえて、独自の席をつくりそうと思わせる無限の可能性を友田オレからは感じる。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)