エセ調教師は国内各地を行脚しながら、自作した名刺をチラ見せして馬券代をだまし取っていた。
実在する日本中央競馬会(JRA)の調教師の名前をかたって馬券の購入を持ちかけ、現金を詐取したとして、住居不定、無職の菊本輝昭容疑者(78)が11日、詐欺の疑いで京都府警東山署に逮捕された。
6月9日夜、菊本容疑者は京都・祇園のスナックで武豊騎手の親戚にあたる武英智調教師(44)を名乗り、経営者の女性(61)に「オレが調教している馬の調子がすごくいい」「6月15日に岩手県の水沢競馬場でのレースでその馬が走る。絶対、馬券圏内に来るから」「オレは調教師やから、買ってしまうとクビになるから買うことができへんのや」「競馬場の近くにあるスナックのママさんに代わりに買ってもらうから、一緒に頼んであげるよ」とウソを連発し、1万円をだまし取った。菊本容疑者は「払戻金を持って、16日に来るから」と言って店を出たが、二度とスナックに顔を出すことはなかった。
「菊本は一見客で、店に入ると自ら名乗り、『オレに金を預けたら、儲けさせてやる』とうそぶいていた。名刺に書かれていた名前をママがメモに控えていて、ネットで検索したらホンモノは44歳の若いイケメンで、見た目も年齢もまったく違った。それで『全然ちゃうやんか』となった。菊本は武さんの名前が入った名刺を自作し、チラッと見せるだけで、決して相手に渡さなかった。武さんだけでなく、他の調教師になりすますこともあった」(捜査事情通)
JRAにも同様の相談が寄せられ、今年に入ってから25件、詐欺被害が確認されている。
「菊本の自宅は北海道函館市にあり、年明けから関東、近畿、福岡、そして京都と全国を転々としながら馬券代をだまし取っていた。被害額は数千円から10万円です。ただ未遂に終わることも多く、交通費や宿泊代、飲み代もかかる。大した稼ぎにはなっていなかった。
菊本容疑者は2019年にも同様の事件を起こし、京都府警にパクられている。懲りないジイさんだ。