自民党の高市総裁が茂木前幹事長を外相に、木原稔前防衛相を官房長官に起用する方針を固めたという。


 経験者の茂木氏の外相再任はまだ分かる。

ただ、防衛相しか経験していない木原氏が、「内閣の要」である官房長官とは驚きだ。高市勝利に貢献した旧茂木派所属で、信条も「ミニ高市」のごとく共通している。「論功行賞+お気に入り人事」(官邸事情通)とみられているが、要職を任せられるのか。過去に問題となった言動がいくつもあるのだ。


 現在衆院6期目の木原氏は2015年設立の「文化芸術懇話会」の代表に就任。懇話会の初回で、講演した作家の百田尚樹氏(現日本保守党代表、参院議員)や安倍元首相のシンパ議員がマスコミ批判を展開。大騒動になったことで、木原氏は役職停止処分を受けた。


 懇話会2日前の沖縄全戦没者追悼式で安倍元首相が「帰れ!」などと怒号を浴びせられると、木原氏は「明らかに動員されていた」と根も葉もない主張をし、猛批判を浴びてもいた。


 岸田政権下の23年9月、防衛相に就任したが、1カ月後にあった衆院長崎4区補選の応援演説で「(自民党候補を)しっかり応援していただくことが、自衛隊並びにその家族のご苦労に報いることになる」と発言。政治的に中立であるべき自衛隊を政治利用していると受け止められ、批判されると撤回に追い込まれたのだった。


「22年末の安保関連3文書改定を巡っては、与党実務者協議で防衛費倍増や敵基地攻撃能力保有に向けて旗振り役を担った。高市さんソックリの改憲タカ派で、米国大使館の覚えがめでたい」(霞が関関係者)


 統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連団体の会合での講演や、政治献金を受領した事実も発覚している。


「防衛相時代に教団との接点に焦点が当たり、永田町では『木原さんは終わった』と囁かれたものです。それでも今回、官房長官起用が浮上した背景に、茂木さんへの忠誠心がある。旧茂木派は昨年、離脱者が続出し茂木さんの求心力が低下。それでも木原さんは茂木さんを支え続けた。茂木さんの後押しがあるのでしょう」(官邸事情通)


 “激ヤバ”の木原氏に官房長官が務まるのか。それ以前に、高市氏がまだ首相に就任してもいないのに、閣僚人事が出てくること自体がおかしい。既定路線で情報を流しているのなら、フザケている。


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 高市総裁就任で、自民党は変われるのか。【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。


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