【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 まったくアホですよね。ありえない。

報道関係者の風上にも置けないダメダメ発言ですね。日本テレビは災難でしたね。「日テレ関係者ではないか」とか「揉み消したのでは」などとあらぬ疑いをかけられました。結局は時事通信のカメラマンだったわけですが、私ははじめからテレビ関係者ではないと思っていました。なにせ「支持率が下がるような写真しか出さねーぞ」と言っていますよね。テレビ関係者は映像のことを「写真」とは普通は言いません。日テレ関係者のわけはないわけです。まあ本気で「支持率を下げてやる」と思って言ったとは思いませんが…またメディアの信頼性を大きく損なってくれるクソ発言ですね。


 ただ、テレビの報道関係者にも結構いるんですよね、現場で余計な発言をするひと。そもそもテレビ報道関係者は口が悪い。しかもなんだか「上から目線で失礼なことを言うのがカッコいい」くらいに思っている傲慢な勘違い野郎も多い気がします。


 で、現場なんかで「待ち」の状態が長かったりすると、「暇つぶし」くらいの感覚で、他社とバカ話をします。

でもねえ、報道取材の現場でバカな発言をすると、それがいろんな形でいろんな人に聞かれるし、今回のように「全国に生中継される」なんてことも十分あり得るわけですからね。


■「生中継でやらかした人」は結構いる?


 僕は以前記者をしていたので、よく現場から生中継でリポートする機会が多かったのですが、厳しい先輩に教育されたのは、「カメラの周辺では絶対に余計なことは言うな」ということと「カメラの前に立ったら、たとえ中継されていない時でも絶対に笑顔にならずに、しかめっ面をしていろ!」ということでした。僕は社会部でしたから、現場中継するということは誰か被害者の方がいる可能性が高いわけです。記者の笑顔が放送されたら、どう考えても不謹慎ですよね。だから、いつ間違えて映ってもいいように「ずっとしかめっ面でいろ」ということなのです。


 実際、けっこう周辺にも「生中継でやらかした人」というのはたくさんいました。死者がたくさん出た事故現場の中継準備をしていて大爆笑した笑い声が、オンエアされてしまったとか。スタジオからの音声が聞こえないというのをカメラマンに伝えようとして、耳が不自由な人に関する差別用語を叫んだ記者の声がそのまま放送されてしまったとか…ホント、洒落にならない深刻な事態を招くわけですから。やれやれ。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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