【今週グサッときた名言珍言】
「こういうところ、解散したのは! このズレが埋まらないのよ!」
(田村淳/テレビ朝日系「テレビ千鳥」9月30日放送)
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今年6月、突然の解散発表をして驚かせた、田村淳(51)と田村亮(53)のロンドンブーツ1号2号。異例なのは解散後も「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)などで変わらず共演していることだ。
淳はもともと地元の友人とコンビを組んで上京。程なくして友人は東京の生活が肌に合わずにいなくなり、淳は知り合った10歳上の芸人とコンビを組もうとした。それも感覚が合わずに断念すると、その芸人に紹介されたのが1歳上の亮だった。だから、ネタも当初は亮がつくり、淳も「亮さん、今度はどうしたらいい?」などとアドバイスをもらうような立場で、コンビのイニシアチブは亮が握っていたという(テレビ朝日系「耳の穴かっぽじって聞け!」25年10月1日)。
ところが、亮が司会をこなせなかったことで2人の立場は逆転していく。当時は「司会=ツッコミ」の役割だったが、ディレクターから「サッカーで言うと、フォワードとキーパー両方やる感じ」と言われ、ボケであるはずの淳が進行も担うようになった。
淳は学生時代からクラスを自分主導で回すために学級委員を務めたり、不良たちに一目置かれるためにたまり場での回し役を引き受けたりする「生粋の進行屋」(テレビ東京系「あちこちオードリー」21年6月2日)。その才能はテレビでも発揮された。けれど、もし過去に戻れるなら「亮に司会を任せたかった」(「耳の穴かっぽじって聞け!」=前出)と淳は言う。それを境にコンビのバランスが崩れ始めたからだ。
そして淳は「亮さんのいじり方の正解を俺まだ叩き出せてない」(同前)と忸怩たる思いを告白する。前述のディレクターは亮の役割を「サポーター」だと言ったという。「亮が笑ってるか否かをおまえは指針にしろ」と。事実、淳は「お笑いのポジションで『笑顔』っていうのを作ったのはあの人の革命」(「あちこちオードリー」=前出)と評価していた。
解散し「ロンドンブーツ」という重い屋号を外してから、次第に元の淳と亮の関係に戻ってきているという。彼らならこの2人でしかない関係性の正解を導き出せるに違いない。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)