11月12日に予定されていた書籍「職業、吉川晃司」(文藝春秋)の刊行を中止し、賛否の声があがる吉川晃司(60)は10月12日、楽器メーカー・フェンダーのイベントでトークセッションを行い、


「私も還暦を迎えたので、大人っぽいのもいい」と、ギターを選び、こう言ったそうだ。


「だんだん渋いものが良くなってくる。

仕事柄ギラギラした衣装を着る。この間までギラギラすぎたんで」


 我が道を突き進んできたロッカーの言葉に観客は湧いたようだが、刊行ドタキャン騒動が尾を引いている。10日更新の公式サイトで吉川は中止を発表し、《この半年間、力を尽くして作成に臨んで参りましたが、理想的な表現法を模索していたさなか、自分で己の人生を解説してはいないかという疑問が湧きそれを払拭できず断念しました》と持論をつづったのだ。「異例の中止」と報じられ、楽しみにしていたであろうファンも大いに落胆したに違いない。


「すでに完成した表紙も公開され、校正や入稿も終わってデータが印刷に回っていてもおかしくない段階ですから、担当編集らは深刻なダメージを被ったでしょうね。広告宣伝や営業、デザインに当たったスタッフらもいて、ようやく完成という時に白紙にされたのでは、たまったもんじゃない」とは書籍の出版関係者だ。


「構成をし直すとか、延期にするということはできなかったのでしょうか。また通常、この手の本は編集者が構成し、ライターが文章をまとめるのですが、吉川さんは『いつの日にか、今ならやれるという境地を開拓できたなら、自ら筆を執ろうと思うしだい』としており、そうした慣例にもNOと判断したようにみえます。どうしても看過できないところがあったのでしょうけど、直前ドタキャンはきつい」


 普通に見れば「ワガママ」と取られるだろう。だが、納得できないことや筋の通らないことは看過せず、こだわり、ポリシーを貫ぬく生き方を貫いてきたことで吉川は知られている。


■尾崎豊の形見のギターを蹴った知人をぶん殴って書類送検


「1984年のデビュー曲『モニカ』からヒット曲を連発し、売れっ子になっても、バラエティー番組出演などを嫌い、22歳でナベプロから独立。その後も事務所と揉めたり、親友の尾崎豊の形見のギターを蹴った知人を殴って書類送検されたり、25周年企画でフィリピン無人島で10日間サバイバル企画に挑んで死にそうになったとか、そういうエピソードは数知れません。

芸能人にはタブーとされる政治発言も辞さず、安倍政権時は『俺は現政権がでえっ嫌い』と声高に政権批判していた。東日本大震災では素性を隠して被災地を訪れ、自転車のパンク修理を行ったことも。『有事の際は軽トラが一番のスーパーカー』などなど、独自の語録もたくさん残していて、それらを一度まとめたいと本人も考えていたと思うのですが、それでもNOはNOというのが吉川らしいかもしれません」(吉川に詳しい芸能ライター)


 そういうキャラクターもあって、今回のドタキャンも吉川らしいと受け止められているのか、文藝春秋が被害や損害賠償を求めて訴えに出るという話もない。だが、そんな反骨の生き様や言葉をまとめようと書籍を企画した関係者は泣くに泣けないのではないか。


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