小説「城の崎にて」の作家、志賀直哉ら多くの文豪に愛された兵庫県豊岡市の城崎温泉。開湯1300年以上の歴史がある温泉街の中心にある外湯「一の湯」の女湯に、自称「ミステリー作家」の男が無断で侵入していた。
建造物侵入の疑いで9日、同県警豊岡署に逮捕されたのは、島根県松江市在住の藤井尚容疑者(48)。
同日午前6時20分ごろ女性のパート職員が清掃のため女湯の脱衣場に入ると、浴場からシャワーの音が聞こえた。声をかけ、男から返事があったため、男性職員を呼びに行き、女風呂のドアをガラッと開けた。浴場に入ってすぐの場所で、全裸姿の藤井容疑者が立ったまま、シャワーを浴びていた。
■慌てる様子もなく徒歩で立ち去る
あっけにとられる職員らに対し、藤井は「すいません、すいません」と言いながら、2人の横を素通りし、脱衣場で体をふき、服を着た。慌てる様子もなく、施設内の自動販売機でジュースを買うと、その場から徒歩で立ち去った。営業開始は午前7時からで、当時、女湯に客はいなかった。正面玄関は清掃作業員の出入りのため、無施錠だった。
職員が「閉店中に男性が女風呂に入っていた。今もいる」と、110番。通報を受けた署員が30分後の午前7時半ごろ、一の湯から約500メートルほど離れたJR城崎温泉駅のロータリーで藤井容疑者を発見し、緊急逮捕した。
調べに対し、「女性用の風呂に興味があり、この時間なら誰もいないだろうと思って、勝手に入った。
「本人に職業を聞いたら、『ミステリー作家です』って言うとった。『ホンマか』って念を押したんやけど、『ミステリーです』ってかたくなやった。本人いわく、『執筆中』いうことやったけど、ホンマに作家かどうかも怪しい。『本は出してない』って言うてたわ」(捜査関係者)
藤井容疑者は8月5日、地元の松江市内のコンビニで自身の陰部を露出し、公然わいせつの疑いで島根県警松江署に現行犯逮捕されている。
9月11日にも、別のコンビニの店内で自慰行為をしたとして、県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕された。
「自身の右手をズボンの中に入れ、イチモツをイジっていた。店のオーナーがその様子を確認して『不審な動きをしている男がいる』と通報し、駆け付けた警察官が店内で身柄を確保した。この時はミステリー作家ではなく、ただの『作家』を名乗っていた」(捜査事情通)
誰もいない女風呂で、一人で何をしていたかは不明だ。