高市自民党日本維新の会による連立政権樹立で、「キーマン」とされる議員にスポットライトが当たっている。維新の遠藤敬国対委員長(57)だ。


 維新は連立を組んでも「閣外協力」として閣僚は出さないが、代わりに遠藤氏が高市官邸入りし、首相補佐官に就くという。藤田文武共同代表でも馬場伸幸前代表でも前原誠司前共同代表でもなく、遠藤氏。一般的には知名度ゼロで「遠藤Who?」だ。一体、どんな人物なのか。なぜキーマンなのか。


■秋田犬保存会の会長としての顔も


 遠藤氏は衆院大阪18区選出で、2012年初当選の5期目。高校卒業後、飲食店を経営し、日本青年会議所で活動した。政界に転身後は、2015年から10年間、維新の国対委員長を務め、いったん退いたものの、参院選後に再登板となった。秋田犬保存会の会長を務め、ロシアの女子フィギュア五輪金メダリストのザギトワ選手に「マサル」を贈呈したことがある。


「遠藤さんは人懐っこくて、ノリがいい。フットワークも軽く、人をまとめるのがうまい。国対委員長を長くやっていることもあり、とにかく人脈がすごい。

自民はもちろん、立憲、国民民主、公明にも人脈がある。典型的な飲みニケーションタイプで、しょっちゅう議員宿舎でたこ焼きパーティーを開いているのですが、そこに国対関係の議員や官僚、記者を招き、さらに人脈を広げている。高市さんとも一緒に食事する仲で、『さなえちゃん』と呼んでいると言っていました」(メディア関係者)


 自民党内で維新とのパイプ役といえば、筆頭に挙がるのは菅義偉元首相だった。高市執行部は維新はおろか、野党との接点もほとんどないといわれている。そんな中で、高市総裁にとって唯一、頼れるのが遠藤氏なのだ。朝日新聞によれば、公明が連立離脱を決めた翌11日、高市氏が遠藤氏の携帯電話を鳴らし、「協力してほしい」と頼んだという。


 ただ異例なのは、遠藤氏が国対委員長を辞めて首相補佐官になるのではなく、兼務する方向だということ。


「行政府と立法府の役職兼務は三権分立の観点から考えるとおかしい。国対委員長が非公式な党の役職であり、国会の正規の委員長職ではないので問題ないという判断なのだろうが、本来ならあり得ない人事。何でもアリの場当たり政権を象徴しています。野党側とパイプのない高市執行部に代わって、遠藤さんが『与党国対』として自民と一体化して働くことになるのではないか」(永田町関係者)


 つまり、自維連立の成否は遠藤氏ひとりの肩にかかっているということ?


 高市政権、大丈夫か。


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