毎年恒例になった「東京国際映画祭」が有楽町・銀座エリアを中心に開催中だ。初日27日はミッドタウン日比谷でレッドカーペットが行われ、「てっぺんの向こうにあなたがいる」の吉永小百合(80)、「ナイトフラワー」の北川景子(39)、台湾映画「ダブル・ハピネス」の吉岡里帆(32)らがオープニングを飾った。

また「君の顔では泣けない」からKing & Prince高橋海人(26)、「「GENERATIONS:The Documentary」白濱亜嵐(32)、片寄涼太(31)、数原龍友(32)、小森隼(30)、佐野玲於(29)、中務裕太(32)も登場し、レッドカーペットには女性ファンが押し寄せた。


 今年の目玉は、前売りが15分で完売したというポール・シュレイダー監督の「MISHIMA」だ。同作は三島の生誕100年を記念し上映となった。映画ライターの金澤誠氏がこう言う。


緒形拳が三島由紀夫を演じ、彼の書いた小説を映像でいくつか再現したこの伝記映画は、1985年に作品が完成したが、三島の遺族が日本での上映を許さず、国内では幻の映画になっていた(海外では上映している)。日本で初上映されるとあって、どのような反応が起こるかにも、注目が集まっています」



時代とともに企画内容が多様化

 東京国際映画祭も今年で40年。スタートは渋谷の街全体の映画祭り的な要素もあったが、六本木、日比谷と会場も移り、内容的にも変化してきた。


「かつてはゴジラ映画の初お披露目の場であったり、『タイタニック』のワールドプレミアを行うなど、話題性が強かったですが、近年は東京国際映画祭自体が主なイベントになっている。最近力を入れている企画としては、アジア映画の紹介、女性の映画の作り手に光を当てる〈ウィメンズ・エンパワーエンド〉、若い映画ファン・映像作家の創出を目的にした〈ユース〉などがあり、時代とともに企画内容が多様化してきています。中国国内で上映禁止になった中国映画や、中国が認めない台湾の映画、香港映画などにもフラットな目線で寄り添い、上映してきた。これは日本という国の立ち位置が映画祭の在り方に影響している部分もあって、ある意味主義や思想にとらわれない『開かれたアジアの国際映画祭』として意味があります。なので、観客として参加するなら、アジア映画がおすすめ。

映画祭作として一定のクオリティーがあり、当てずっぽうの中に大当たりが隠れている楽しさがあります」(金澤氏)。


 ちなみに日刊ゲンダイでは、ガラ・セレクション部門で上映の「ブルーボーイ事件」に出演した、イズミ・セクシーのインタビューを掲載予定だ。何でもネットで事前情報が得られる時代だが、あえて映画祭で新たな発見をしてみるのも良さそうだ。


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