兵庫県の斎藤元彦知事が13日、昨年の知事選を巡る自身の公選法違反容疑が不起訴になってから初めて記者団の取材に応じた。神戸地検に適切な判断をいただいたとし「捜査に全面的に協力した結果、不起訴という結論。

一定の決着がついた」と強調した。


 同じく不起訴となった西宮市のPR会社「merchu」の折田楓社長は12日、久々に自身のSNSを更新。長文のコメントを投稿し〈本件を重く受け止め、この経験から学び、人としても経営者としても成長し続けることで、信頼を回復してまいります〉などと、前向きな記述が目立つ。


 昨年11月の斎藤氏の再選直後、折田氏は斎藤陣営に「広報全般を任された」とする記事を投稿サイト「note」に掲載。自身のSNS戦略を猛アピールし「そのような仕事を、東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けた」などの記載から有償でSNS運営を請け負ったとの疑惑を生み、斎藤陣営から支払われた71.5万円は選挙運動の報酬に当たり違法だと12月に刑事告発された。


■追加告発の「利害誘導罪」にあたる可能性


 斎藤知事は「代理人弁護士に一任」と逃げ回り、弁護士は「71.5万円は公選法で認められたポスターなどのデザイン制作費」とし、折田氏の投稿は「事実ではない」と主張。SNS運営は無償で行われたと言い張った。


 斎藤知事と折田氏は嫌疑不十分で不起訴となったが、「これにて一件落着」にはまだ早い。2人を刑事告発した郷原信郎弁護士と、神戸学院大の上脇博之教授は近く検察審査会に審査を申し立てると明言している。最近も裏金事件で萩生田幹事長代行の政策秘書への不起訴処分(起訴猶予)が検察審で一転し「起訴相当」との議決が出たばかりだ。上脇氏が言う。


「検察も折田氏が選挙運動者だと認め、SNS運営のみ無報酬とする斎藤氏側の主張は不自然。

今年9月にはデザイン制作費などの利益を前提に、折田氏に無報酬で選挙運動させた行為が、公選法が禁じる『利害誘導罪』にあたるとして追加告発しました。仮に公選法違反の買収が立証できなくても、こちらには該当するはず。検察審には公正な判断を期待します」


 まだまだ斎藤氏らはヌカ喜びとなりかねない。


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