物価高対策として政府が進める「おこめ券」政策に、自治体から反発の声がやまない。10日山梨県富士吉田市が、おこめ券の配布を見送る考えを表明。
高市政権は総合経済対策の柱として、自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」を拡充した。食料高騰用として4000億円を確保し、おこめ券の配布を推奨している。
しかし、おこめ券は500円分の券を発行するのに流通費として60円のコストがかかり、実際に使えるのは440円分になる。効率の悪さが指摘されており、大阪府交野市や箕面市、福岡県福岡市や北九州市など、配布しないと表明する自治体が相次いでいるのだ。
さらに、おこめ券政策を主導する鈴木憲和農相(衆院山形2区)の地元からも、ノーが突き付けられた。山形新聞(6日電子版)によると、県内35市町村のうち、30市町村がおこめ券の配布を「検討中」とし、残り5市町村は配布しない方針を固めた。配布を決めた自治体は0だった。
「配布しない方針」とした鶴岡市の担当者は、日刊ゲンダイの取材にこう話す。
「そもそも、市内にはコメに困っている人が少ないと思われます。コメ農家が多く、農家が知人や親類に提供する『縁古米』の習慣もある。
■「自治体の判断」と逃げ道
米どころとされる地域は、どこも同じような状況だろう。おこめ券の必要性が低い自治体は、他にも多いはずだ。
国会でも、おこめ券政策は野党から追及されている。9日の予算委員会では、立憲民主党の山岡達丸衆院議員が、おこめ券は経費がかかるとして「鈴木氏が非常にこだわるのは不可解だ」と指摘。鈴木は「コメだけにこだわっていない。できるだけ負担が少なく、速やかな実施が図れる方法で進められることを期待している」と強調した。
おこめ券配布は鈴木氏が大臣就任時に打ち出した肝いり政策だ。それがいまや、配布は「自治体判断になる」(鈴木)などと、逃げ道をつくるのがお約束になっている。
「おこめ券政策への批判が激しさを増し、農水省や鈴木大臣は『あくまで推奨メニュー』との発信を強めざるを得なくなっているのでしょう。実質的な軌道修正といえます」(農水委員会所属の野党議員)
これだけ自治体に不人気なのだから、経済対策のメニューから「おこめ券」を外しちゃえば。
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