「野放図な財政運営はしない」──。コロナ禍を除いて過去最大規模となる総額18.3兆円もの巨額補正予算案を巡り、高市首相は12日の参院予算委員会で、そう断言。

一丁目一番地である物価高対策の効果についても「自負している」と胸を張った。


 要するに補正予算案は「放漫財政でもなければ、バラマキでもない」と言い張ったのだが、そんなわけがない。来週16日にも成立が見込まれる中、多額の税金のムダ遣いが見過ごされようとしている。


 問題は、高市首相肝いりの「地域未来交付金」だ。今月4日に初会合を開いた「地域未来戦略本部」で、本部長の高市首相は、地域ごとの産業クラスターの形成や地場産業の付加価値向上などを支援するため、同交付金の新設を表明。黄川田地方創生相に「地域未来戦略」の政策パッケージの取りまとめを指示した。


 これを受け、今年度の補正予算案には地域未来交付金として1000億円が盛り込まれた。立憲民主党の道下大樹議員は11日の衆院予算委で、本予算に計上された地方創生交付金2000億円を念頭に「新たに1000億円も計上して使い切れるのか」と追及。「本当に必要なのか」と疑問を呈した。


■中身は何も決まっていない


 道下議員によれば、地方創生交付金の未執行額は2022~24年度で963億円。わざわざ補正予算で積み増す必要はないうえ、肝心の政策パッケージについて政府は「来年5月ごろをめどに取りまとめたい」(黄川田氏)とのスタンス。中身は何も決まっていないのだ。


 現時点で地域未来交付金という看板があるだけなのに、1000億円の金額ありきで予算をつけようとしているのだからおかしな話。補正予算は年度末までに使い切るのが原則だが、知ったこっちゃないようだ。


 道下議員が「メニューを決めていないのに、なぜ補正で積むのか」と問うと、答弁整理のために速記が一時ストップ。約30秒後、黄川田大臣が答弁に立ったが、「(1000億円には)地域未来戦略の土台となっている地方創生の取り組みも含まれており、引き続きこれらをサポートするため」と苦し紛れだった。政治評論家の本澤二郎氏が言う。


「そもそも国債乱発で賄う超大型の補正予算を組むこと自体が異常です。円安・物価高に追い打ちをかけ、地方創生どころか地方の疲弊につながりかねません。予算の使途が間違っているとは思わないのでしょうか」


 中身のない「未来戦略」には当然、緊要性もない。一体、どこが「責任ある財政」なのか。


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