【桧山珠美 あれもこれも言わせて】


 2025年も多くの著名人が亡くなった。


 この時期に思うのはテレビは今を生き延びることにいっぱいいっぱいで余裕がなく、亡くなった人に対してあまりにも冷たいということ。

それまで散々お世話になったのだから功績や人柄などを語り感謝しつつ、お別れする番組があってもいいのではないか。


 長年、追悼を一手に引き受けてきたのは「徹子の部屋」(テレビ朝日系)か。


「星になったスターたち」(フジテレビ系)という上沼恵美子香取慎吾がMCの特番が昨年放送され、今年は16日に放送された。こういう番組があるのは喜ばしいが、上沼と香取だけではエピソードも広がらず。もっと縁のある人を招いてやって欲しい。


 しかも、結局は長嶋茂雄やみのもんたに大きく時間を割き、あとはおまけ扱い。吉行和子上條恒彦という「3年B組金八先生」で先生を演じていた2人を武田鉄矢が追悼する場面も。ただ「サン!シャイン」終わりのついでだったのではと思ってしまった。


 そもそも上條は「出発の歌」とか「木枯し紋次郎」の主題歌「だれかが風の中で」などのヒット曲、「屋根の上のバイオリン弾き」のテヴィエ役にも触れたいところ。


 吉行も「金八」の家庭科の先生だけでない。せめて長年の相棒だった冨士真奈美から話を聞いて欲しいもの。



■肉体は消えても作品は残る

 というわけで、今年亡くなった有名人をここに残しておく。

あの人もこの人も亡くなった。


 元日に亡くなったのが俵孝太郎。ある時期フジテレビのニュースキャスターをしていて「こんばんは! 俵孝太郎です」という挨拶はビートたけしはじめ、多くの人にモノマネされていた。後に「マジカル頭脳パワー!!」などのクイズバラエティーにも出演し、硬派なだけでない一面も見せた。


 3月はいしだあゆみ芦屋小雁、4月は露口茂が旅立った。露口は「太陽にほえろ!」の山さんで知られるが、ドキュメンタリー「人間蒸発」も忘れられない。5月は大衆演劇の沢竜二、浅草芸人の昭和のいる。


 6月は「太閤記」のねねや「黄金の日日」の淀君など数々の大河ドラマに出演し、妖艶な演技を見せた藤村志保。大河つながりで「独眼竜政宗」の脚本を手掛け、後に関係した女性の特徴を克明にメモした手帳を妻にバラされて話題になったジェームス三木。元大関で歌手としても活躍した増位山太志郎。


 7月は日活3人娘の一人で冒険家の和泉雅子、「サインはV」の中山麻理、「黒ネコのタンゴ」が大ヒットした皆川おさむもいる。


 9月は橋幸夫、ビリー・バンバンの菅原孝、11月は仲代達矢、嵐山光三郎、「トラック野郎」シリーズで活躍した中島ゆたかが亡くなった。


 幸いにも肉体は消えても作品は残っている。年末年始は追悼の意味を込めて観賞してみては。


(桧山珠美/コラムニスト)


編集部おすすめ