「ミッション・コンプリート」(任務遂行)──。誇らしげな発言で国民民主党の玉木代表が陳謝に追い込まれた。

「年収の壁」178万円への引き上げの自民党との合意直後に発した言葉だが、ネット上では「落胆した」「なぜ言えるの?」などと批判の声が殺到。なぜなら合意した減税額が国民民主の従来の主張よりもショボすぎるからだ。


 昨年の衆院選と今年の参院選で、国民民主は一律178万円への引き上げを主張。これまで訴えてきた年収別の減税額と、合意した減税額との比較は【別表】の通りだ。


 年収665万円までの所得制限もあり、従来の主張とは大きな差がある。まるで詐欺まがいで、玉木代表は19日に「ここがゴールではありません」とXに投稿。20日は自身のユーチューブ番組で「不快に思われた方にはおわび申し上げます」と謝罪し、コンプリート発言の軌道修正に躍起である。



真のミッションは消費税減税

 実際、今回の減税額だと、多くの庶民は物価高に太刀打ちできない。みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によれば、長引く物価高騰により、2021年度に比べた24年度の年間家計負担は、1世帯(2人以上)あたり28万円も増加。25年度は、コメ高騰が響き1年間だけで8.7万円の負担増になるという。


 この4年間で36.7万円も負担が増えているのに、2.7万~5.6万円程度の減税額ではスズメの涙にもならない。


「今回の減税効果は会社員らを対象にした『給与所得控除』を含めた額で、対象外の個人事業主や年金生活者への恩恵はさらに小さくなる。

物価負担増を軽減するには年収の壁引き上げよりも、消費税減税が効果的なのは論をまちません。“ゆ党”の国民民主も与党になった日本維新の会も含め、参院選ではオール野党が消費税減税を公約に掲げた。それを支持した有権者が与党を上回る議席を野党に与えたのに、今や消費税減税に見向きもしないのは有権者への裏切りです。法人税の累進税率導入や所得税の最高税率引き上げなど、大企業や富裕層への優遇策を見直せば、財源も捻出できます。野党は国民的な議論を巻き起こし、やる気ゼロの高市政権に消費税減税をけしかけるべきです」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)


 大きな「ミッション」はまだ残されている。


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