【私と日刊ゲンダイ】
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元テレビ朝日アナウンサーの佐々木正洋さん(71)は、1996~2012年に昼のワイドショー「ワイド!スクランブル」で人気コーナー“夕刊キャッチアップ”を担当。月曜から金曜まで毎日、「日刊ゲンダイ」の記事を読み視聴者に届け続けた。
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“夕刊キャッチアップ”は、最初は放送時間4分。番組のオマケのようなコーナーで、「経費がかからないし、とにかくやってみよう」と始まりました。
ところが、スタートしたら、あのコーナーは、大人気だった裏番組の「笑っていいとも!」(フジテレビ系)を上回るほどの視聴率を記録。スタッフもディレクター3、4人、ADは5、6人と増え、全員で10人以上にもなり、コーナーの放送時間もどんどん延び、16年間の放送の後半は20分間でした。
人気の理由は夕刊紙をどこよりも早く読める、というのがひとつ。担当していた我々も、局に新聞が届くのを待つより、赤坂駅や新橋駅に買いに行くほうが早く入手できたので、ADが買いに走っていち早く入手していました。
そして、放送開始前の1時間から1時間半、隅から隅まで赤いペンで傍線を引きながら集中して読み、どの記事を取り上げるか、ディレクターや放送作家と侃々諤々、やり合いながら決めていました。
視聴率は分単位で出ますから、どの記事を読んだときの視聴率が良かったか、分析しながら記事選びに役立てていました。
一番視聴率が良かったのは、樹木希林さんを扱った記事のとき。氷川きよしクンの記事も視聴率がグンと上がった。でも、本人が顔を出してくれたときより、記事を読んだときのほうが高かったのは不思議でしたね(笑)。
「日刊ゲンダイ」のほか朝日新聞、夕刊フジ、東京スポーツの計4紙の夕刊から記事をピックアップしていたのですが、当時、「日刊ゲンダイ」のように世の中を皮肉ったような新聞を扱うテレビ番組がなかったから、というのも人気を得た理由でしょう。
とくに、「日刊ゲンダイ」は「真実を追求する!」などと気取らず、人々の本音や不満を厳しい言葉でズバリ書き、みんなのストレス解消、ガス抜きの役割を担っていたのだと思いますね。
日刊ゲンダイのファンは、インテリジェンスの感じられる弁護士や医師に多かったようです。
僕自身は学生時代はノンポリで、大学卒業後、すんなりテレビ局に就職しましたから、政治や社会について問題意識をあまり持たず、平凡なことしか考えられないタイプでした。だから、「日刊ゲンダイ」を読みながらずいぶん勉強になりました。
役に立つ記事も多いですよね。ニンジンジュースにがん予防の効果がある、という記事を読んで以来、ずっと飲んでいます。うがいは3回ガラガラとしたほうがいい、というのも実践していますよ。
“夕刊キャッチアップ”の担当を始めたのは41歳のとき。アナウンサーとして芽が出ないモヤモヤを抱えていた頃です。プロデューサーに「一緒にやってみようよ」と声をかけてもらいました。
コーナー名は正式には“佐々木正洋の夕刊キャッチUP!”。僕の冠コーナーにしてくれ感謝しています。

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