【芸能界クロスロード】
「つなぐ、つながる、大みそか。」をテーマに、昭和から令和まで世代を超えた歌手が顔を揃えた2025年のNHK「紅白」。平均視聴率が2年連続アップとまずまずの結果だった。
唯一の失敗が司会者の段取りの悪さ。歌手紹介した後、間が空き言葉が途切れ沈黙する時間が目立った。前例のない事態に司会者が慌てる様子も映し出されていたのは滑稽だった。
的確な指示を出さなかったスタッフに責任もあるが、これを補うのが司会者の役目。女優の綾瀬はるかと今田美桜に求めるのは無理がある。鈴木奈穂子アナは3人に遠慮してか、間に入るタイミングを失っていた。本来なら司会が本業の有吉弘行がうまく収める立場。紅白の司会も3回目と慣れているはずが、例年よりも緊張していた。それはマイクの持ち方に表れていた。終始マイクを両手に握りしめてのトーク。まるで素人が緊張で手の震えを抑えるために両手で持つようでもあった。
トークも台本通りに話すのが精いっぱい。
有吉は収録のバラエティーで後輩タレントをいじるのは慣れているが、生放送で共演の少ない歌手が相手では勝手が違う。内村や大泉が傍にいた時はフォローしてくれる安心感があった。今回は前年に続き、女優と女子アナの3人をサポートする立場。けん玉のトップバッターなどさまざまな要素が重なり緊張感につながったのだろうが、ベテランの域に入るタレントとしては“残念”というしかない。今年は司会者の選考がNHKの課題だろう。
歌手の選考に関しては賛否あるが、今回で76回ともなれば偉大な長寿番組。マンネリ化打破のため近年、打ち出していたのが、新旧歌手の入れ替えだった。ベテランが抜けた穴を若手が埋める。
今回も郷ひろみが古希になった区切りで、勇退をリハーサル中に発表。本番では「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」を熱唱して有終の美を飾った。紅白の顔でもあった郷が姿を消すのは寂しいが、紅白に新たに設置されている「特別枠」でいずれ出演する可能性はある。
かつて紅白は「大みそかに同じ舞台で歌うもの」と特別扱いを問題視する歌手の声もあったが、なし崩し的に特別扱いが定着。昨年は前年の5組から8組に増えた。“歌合戦”という看板は老舗の和菓子屋の屋号と変わらない。昔ながらの和菓子に洋の要素を入れた和菓子を取り入れるように、演歌に若手歌手の楽曲を入れるようになったことで、紅白の舞台は華やかさを増し、老若男女が楽しめるようになったのが昨年の紅白だった。
特別枠歌手については収録や、松田聖子の大トリなどを非難する声も飛び交うが、音楽関係者は「今さら紅組か白組に入るのであれば拒否するが、特別枠である程度、歌手側の条件、要望が通るのなら出場する歌手は増える」という。
紅白出場のために、歌手側がNHKに営業に回っていたが、立場は逆転。NHKがお願いに出向き出演の条件を聞く時代になった。
(二田一比古/ジャーナリスト)

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