先の衆院選で歴史的大勝を収め「我が世の春」の高市首相だが、先週18日の首相指名選挙で、参院では1回目の投票で過半数を取れなかった。決選投票で日本保守党の2票を得て、ギリギリ過半数の125票となったものの、参院は少数与党であることをまざまざと思い知らされた形だ。
もちろん、衆院では自民単独で3分の2以上の316議席あるので、憲法59条2項の<衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる>という規定により、参院で否決された法案は衆院で再可決できる。が、そうした異例な手法をそうやすやすと使えるのかどうか。
「2007~09年にかけての参院が少数与党となった『ねじれ国会』で、『テロ対策特措法』や『ガソリン暫定税率維持のための租税特別措置法改正案』などが再可決されました。それでも、戦後の再可決は十数件程度で、非常に例外的な手続きなのは間違いない」(霞が関関係者)
加えて、衆院で再可決するということは参院の議決の否定だ。参院不要論が加速しかねず、それは与党の参院議員も望んではいない。
「参院は何かと衆院の格下扱いをされる。そういう意味で、与野党問わず参院は衆院に対抗意識があり、『我々は良識の府だ』との自負が強く、参院の独立をことのほか重視する。高市首相が『数の力』で独裁的に法案を通そうとすれば、野党が反発するだけでなく、参院自民も抵抗する可能性がある」(政界関係者)
最初の関門となるのは、高市首相が年度内成立に意欲を燃やす新年度予算案だ。衆院で与党の質問時間を大幅短縮するなどして、通常の半分程度の審議時間でスピード通過させる強行案が与党内で浮上。
「政界の暴れん坊」の元秘書
これについて自民の石井準一参院幹事長は「首相の強い思いは確認している」としながらも、「衆院側に日程のアドバイスをした」と“注文”を付けたことを会見で明らかにした。そのうえで石井氏は「参院が少数与党である状況は変わっていない。今まで以上に謙虚で丁寧な国会運営を心がけたい」とも強調していた。
「参院のキーマンはこの石井幹事長です。千葉県選出の参院議員4期。高卒後、大学を中退し、『政界の暴れん坊』の異名を取ったハマコー(浜田幸一元衆院議員)の住み込み秘書を11年やってから、県議を経て国政という筋金入りの叩き上げ。当選後、参院平成研(派閥)に入り、『参院のドン』と呼ばれた青木幹雄さんの薫陶を受けた。青木さんは『参院は衆院のコピーではない』を強く意識していた人でした」(自民党関係者)
石井氏は議運や国対など、国会運営に関わるポストを多く経験したことから野党とも独自の人脈がある。そして、ハッキリした物言いが特徴的だ。
「つい最近も、派閥の政治資金不記載で離党した世耕弘成衆院議員の復党について、時期尚早とキッパリだった。かつて参院幹事長だった世耕さんが参院で幅を利かせていたので、意趣返しもあるのでしょうが、旧安倍派には厳しい。佐藤啓官房副長官が裏金事件を理由に参院から『出禁』になった時も、『こうしたことが起きないよう強く申し出ていた』と高市首相に苦言を呈していた」(前出の自民党関係者)
国論を二分する政策に挑戦すると鼻息の荒い高市首相だが、新「参院のドン」に苦しめられるかもしれない。
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