【芸能界クロスロード】
有働由美子と松下洸平が司会する「with MUSIC」(日本テレビ系)が3月いっぱいで終了する。2024年4月に「有働の初司会音楽番組」と期待されてスタートしたが、2年で幕を閉じることになる。
土曜の夜に音楽と有働の軽妙なトークに期待したのだろうが、思惑通りにはいかなかったようだ。
「有働も含めたゲスト歌手の出演料や豪華なスタジオセットなど、かなり経費をかけている。数字を取れなければ早めの打ち切りは、今のテレビ業界では仕方ない」(テレビ関係者)
そもそも音楽番組は出演歌手で見るもので、司会者のネームバリューで見る人は少ない。極論すれば局アナでも構わないが、歌手とタレントとのトークは歌番組ならではの面白さでもある。
放送中の代表的な歌番組を見てもフジテレビの「ミュージックフェア」は仲間由紀恵、テレビ朝日の「ミュージックステーション」はタモリ。NHKの「うたコン」は谷原章介が司会を務めるが、3番組ともサポートを局アナが担当している。「with」は局アナを使わず俳優の松下洸平を起用。「女性人気狙い」と意外性を狙ったのだろうが、結果的に視聴率は伸びず有働初の音楽番組は打ち切りになった。
有働はNHK時代、朝の情報番組「あさイチ」の司会を長く務めるなど、NHKを代表する局アナだった。
「アドリブも利くし好感度も高い。安心して見ていられる」と言われていた。
2018年に退職。
夜のニュース番組「news zero」の司会に抜擢。5年半務めて、一昨年に降板。「思いのほか数字が伸びなかった」こともあったが、日テレは代わりに用意したのが音楽番組だったのか。歌手と有働のトークの関心は高かったが、慣れない歌手との対談は初対面も重なり、物足りなさを感じた。
かつて歌番組の司会者といえば、1月に亡くなった久米宏の「ザ・ベストテン」。古くは前田武彦と芳村真理のコンビの「夜のヒットスタジオ」があった。共に司会者のユーモアと、時に鋭い質問に歌手がタジタジになることもあった。
「歌手はあまりトーク番組に出ない時代。特に生放送で想定外の質問の歌手は返答に戸惑う。そこを狙った節もあるが、久米らは歌手の別な一面を引き出した」(テレビ関係者)
対照的にタモリや仲間のように淡々と番組を進行させることに徹するやり方もあるが、有働は局アナ出身。
その点、NHKの「SONGS」の司会を務める大泉洋の話を引き出すトーク力は「さすが」と思わせる。鋭い突っ込みも番組の売り。以前、高橋真梨子が出演していた日があった。
普段あまりトーク番組に出ない高橋も大泉にかかれば思わず本音を語る。高橋の意外な一面を知り、視聴者は歌にプラスアルファの話で得した気分になれる。
有働は「月刊文芸春秋」で対談ページを持ち、最近は「有働Times」でも、時の人へのインタビューが増えている。土曜夕方の「おしゃべり小料理ゆみこ」ではさまざまなジャンルの人を招きトークで本音を引き出している。
音楽番組はうまくいかなかったが、「徹子の部屋」の黒柳徹子の後を引き継ぐ対談番組の有力候補に向けて、有働が動き始めているように見えてくる。
(二田一比古/ジャーナリスト)

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