4日と5日、山形県で無職の女と理学療法士の男が立て続けに「自作自演」事件で逮捕された。


「自宅に入り込んだ泥棒に殴られ、現金が入った財布を奪われた」


 4日、偽計業務妨害の疑いで逮捕された上山市の無職、渡辺結花容疑者(24)の家族から山形県警に110番があったのは、昨年12月1日午後4時50分ごろ。


 渡辺容疑者は警察に<家に1人でいたところ、男と鉢合わせになり、暴力を振るわれ、「金を出せ」と脅され、財布を奪われた>と説明。


 だが、実際は男が家に侵入した形跡は確認されず、家の中から「盗まれた財布」が見つかり、途中から任意の聞き取りに応じなくなった。


「事情聴取をしている中で嘘や矛盾、不自然な点が含まれていたため、一つ一つ裏付け捜査を積み重ね、強盗の届け出が嘘であることを立証した」(捜査事情通)


 通報以降、県警は現場の鑑識活動や大規模な車両検問、付近の小学校の登下校時間帯に合わせて人員を配備。1カ月以上にわたり、多くの警察官を動員して警戒活動にあたったが、すべてムダだった。


 5日には、米沢市の理学療法士、鈴木晃希容疑者(31)が同じ偽計業務妨害容疑で逮捕された。


 鈴木容疑者は1月20日、同市の空き家の敷地内から「荷物を取っている時に後ろから急にカッターみたいなもので首を切り付けられた。犯人はすぐに逃げていった」と虚偽通報をした。


 その後の調べで、「犯人から刺された」とされる首と手首2カ所の傷が浅く、現場には犯人のものとみられる足跡もなく、本人の証言が二転三転した。


「傷害事件として捜査を進めていましたが、客観的な事実と合致しないなど、証言におかしなところがあり、最終的に嘘だったことを本人が認めた。傷については自作自演だったとみています」(前出の捜査事情通)


 県警本部や所轄の警察署員の他、地区を担当する交番勤務の警察官も発生時間帯に合わせ、警戒にあたったり、児童らの登下校を見守ることで子どもたちや保護者の不安を払拭する努力を続けてきたが、それも徒労に帰した。


■「極めて悪質」とカンカン


 いずれも動機については明かしておらず、相次ぐ業務妨害行為に県警もカンカンだ。


「捜査中の事件もある中、通常業務に支障をきたしたことはもちろん、強盗事件が発生して犯人が逃走中となれば、住民は不安を抱きます。

悪質な犯行です」(捜査関係者)


 県警は先月19日にも寒河江市で自ら両手両足をロープで縛った消防分署長(54)が、「男2人組に襲われ、現金80万円を奪われた」と嘘の被害申告をしたとして、逮捕している。


 一連の「自作自演」事件を受け、県警の阿部喜彦刑事部長は「大量の警察官を動員させて『犯人の捜索』などの捜査活動や住民安全対策に従事させることは、警察活動に大きな支障を及ぼし、地域住民の方々に大きな不安を与えるという極めて悪質な行為。決して看過せずに厳正に取り締まっていく」と異例のコメントを発表した。


 通報のたびに振り回される警察官は、たまったもんじゃない。


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