ネットでニュースを見ている時、「この人、最近よく見るよな……」という人物がいるのではないだろうか。これは、ウェブメディア・ニュースサイト側が「この人の名前がついていれば、ある程度インプレッションが稼げるのが確実」という人々である。
私自身、この20年間ウェブメディアの仕事をしていて、粗製乱造にかかわっていたわけだが、一旦始めてしまうと、もうやめられない止まらないかっぱえびせん状態になってしまう。こうした記事で名前を使われる人の共通点は、知名度があることと意見が面白かったり鋭かったり過激だったりすることは前提として、「文句を言ってこない」ということにある。
実際に取り沙汰された人にしても、話題になることは良いこと、と考えているし、SNSのフォロワー数の増加や、宣伝になる面もあるから、容認していると思える。「お前らは、オレの名前を出して稼いでいるんだから、レベニューシェアのカネを出せ!」と言うのかな、とも思ったのだが、特にそのようなことにはならない。ただ、そのオファーを出し、自由に記事を書くことを許可している人もいる、と業界関係者からは聞いている。
とにかくアクセス稼ぎをするためだけに刹那的に見出しで「その時ウケる人」の名前を出すだけがウェブメディアの歴史である。これまでにどのような人物がコタツ記事業界から重宝されてきたか。私自身の経験も踏まえてそのお名前を振り返る。
辻希美、上地雄介、紗栄子、叶姉妹、デヴィ夫人、その後は不倫等で報道された著名人は何でも。ベッキー、川谷絵音、とにかく明るい安村、東出昌大、唐田えりか、田中圭、永野芽郁などが代表格。
あとはテレビで過激な発言をする人物もその対象となる。
それでもウェブメディア側が持つ“常識”とは?
かくして、張本氏がカズこと三浦知良に「おやめなさい」と言ったことなどがとんでもない量のアクセスを稼ぐコタツ記事に繋がるのである。私は張本氏が大好きである。彼が毎度ウェブメディアのコタツ記事に使われて、ネットユーザーから叩かれまくる様を見て非常にキツい気持ちになっていた。
張本氏は、ネットが「みんなのもの」になる前はもっと歯に衣着せぬ発言をし続け、「サンデーモーニング」視聴者からは快哉されるような状況だったが、実際は番組を見ていないコタツ記事を読んだ人々からの反発を多々くらい、発言は穏やかになった。そして今はレギュラーではない。
そうした意味で、ウェブメディア編集部はコタツ記事は誰か著名人を出すことにより「この人の発言を紹介しまーす! 私たちはあくまでもこの人の発言を紹介しているだけです。文句はこの人に言ってくださいね~!」的スタンスに立った。
セコイのである! そして、現在、各種ウェブメディアは、学者、起業家、評論家、格闘技イベントBreakingDown関係者などの名前を上げるコタツ記事が連日量産されている。具体的には朝倉未来、三浦瑠麗、ひろゆき、堀江貴文、溝口勇児、田端信太郎、古市憲寿、倉田真由美、チームみらい、細川バレンタイン、へずまりゅう、ゆたぼんなどである。
この人達が賛否両論あるようなネタをネットに投稿したら「おいしいの来たー!」的にソッコー記事化する。
具体的に言うと、田村淳氏がそれである。同氏は過去に自身のSNSでの発言を記事化しないよう表明した。そうすると、同氏のSNS発言を元にした記事はなくなった。それは別に倫理とかそういったことは関係なく、著作権料の支払いを求められたり、権利侵害で訴えられることを恐れただけだ。
読者の皆さんはまともなニュースを普段からネットで見ていると感じているかもしれないが、ウェブニュースの中には「文句を言ってこない著名人の過激発言を元にしたコタツ記事を読んでいる」という側面もあることは理解されたし。(一部敬称略)
(中川淳一郎/編集者・PRプランナー)

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