「白い巨塔」
(2003年/フジテレビ系)
◇ ◇ ◇
白カモメのデニムをずり下げて「CK」のパンツのロゴを誇らしげに見せる鼻ピアスの高校生たちが、MDに入れたORANGE RANGEの曲を聴いていたあの頃。浜崎あゆみの影響でガングロだったギャルが美白に目覚めたあの頃。
そう、「バカの壁」がベストセラーになったあの2003年。「郵政民営化」が世間話になった秋に“フジテレビ開局45周年ドラマ”として山崎豊子原作の「白い巨塔」が始まった。
1978年版で田宮二郎が演じた主人公・財前五郎を演じたのは唐沢寿明。放送当時43歳だった田宮の五郎が“虚無”をまとった大人の色気をブラウン管越しに見せたのに対し、当時40歳だった唐沢の五郎はギラギラした野心をクリアな画面で見せていた。
当初、田宮版をリアルタイムや再放送で見たことのある世代からはどうしても「トレンディー俳優に財前五郎は軽すぎる」とか「冗舌すぎる」なんて言われていたけど視聴率は20%以上をキープ、翌年3月の最終回には30%超えと数字でそんな声をねじ伏せた。もちろん、それは原作の魅力や他の演者の力も大きかったのだけど。
そういえば唐沢版で財前五郎の義父、財前又一を演じたのは西田敏行。原作では62歳という設定の“老獪で強欲な大阪の産婦人科医”を演じたその時の西田さんの実年齢は55歳! 会見で「財前又一です。“ヌー”と読まないでください」なんて言って盛り上げたチャーミングさそのままに、強欲なのにどこか憎めない又一を見せてくれた。これが後の「ドクターX」での大門の敵役で腹黒いのに憎めない蛭間院長につながる。
あれからもう四半世紀。
まあ今のフジテレビの体力だけじゃなく、いろんな事情で実現は難しいだろうけれども。
巨人戦の視聴率が15%を割ってお茶の間の主役の座から降りた03年。視聴者は病院を舞台にした権力闘争に夢中になった。ドラマ好きにはプロ野球中継はGコード予約の敵でしかなかった。そしてこの年の12月、地デジの本格放送が始まる。
(テレビコラムニスト・亀井徳明)

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