12日、都内のホテルで行われた自民党大会。高市首相(党総裁)は憲法改正について、「時は来た。

発議にめどが立った状態で来年の党大会を迎えたい」と前のめりだった。


 今年の党の運動方針でも、「衆参両院の憲法審査会に条文の起草委員会を設置して改憲原案を作成し、国会提出を目指す」とした。さらに結党70年に合わせた新ビジョンには、憲法改正について「我が国の安全保障を考える上で、死活的に求められている」とまで書き込んだ。


 しかし、だ。自民党が優先的な改憲項目に挙げてきたのは、大規模災害などの緊急事態条項の創設や自衛隊の憲法への明記だ。これが「死活的」に求められているのだろうか。慶大名誉教授(憲法学)の小林節氏はこう言って呆れる。


「『死活的』というのは『これなしには国の存続に関わる』ということで強調の極みですが、力むばかりで中身がないのが自民党の改憲議論です。表現に困って、とうとう過激な言葉を使わざるを得なくなったのでしょう。まず、緊急事態条項は立法の根拠としての社会的事実がない。緊急時の対応には災害対策基本法などの法律群が既に整備されているからです。自衛隊明記については『違憲論争に終止符を打つ』ということですが、自衛隊同様、体を張って国を守っている海上保安庁や消防庁だって憲法に明記されていません。

そのうえ、自民党は『ただ明記するだけで自衛隊の任務や権限に変更は生じない』と言いながら、現状の『必要最小限』から『最小限』を削除し、『国際貢献』を新たに加え、自衛隊の権限を拡大しようとしている。国民をだましてはダメです」


■中身がないから過激な発言


 2月の衆院選後の世論調査で、複数の報道機関が「高市内閣に優先的に取り組んで欲しい政策」を聞いていた。改憲を推進する読売新聞でも、トップは物価高対策(88%)で、憲法改正(40%)は9位と低かった。毎日も9位だった。国民は死活的になんて求めていない。


「改憲の旗振りは自民党の年中行事のようなもの。議論の中身に魂が入っていないので、たとえ衆参3分の2の賛成を得られたとしても、国民投票で過半数は無理。それより国民生活のためにやるべきことは、他にたくさんあるでしょう」(小林節氏)


 衆院の憲法審査会が9日、選挙後初めて開かれた。高市自民は圧倒的な「数の力」で推し進めるつもりだろうが、仰々しい言葉遊びが過ぎて信用ならない。国民は注視が必要だ。


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 ホルムズ海峡への自衛隊を派遣めぐり、高市首相が元経産官僚の今井尚哉・現内閣官房参与と大激突。高市首相は政府関係者の前で今井氏の「クビ」を宣言したというが……。

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