2019年の「ノー・ジャパン」から一転、韓国では日本製品の消費や文化への関心が高まる「イエス・ジャパン」の動きが加速している。こうした民間のトレンドに加え、2025年6月に就任した李在明(イ・ジェミョン)新政権が日韓関係の改善を外交の柱に据えたことで、日韓の協力関係は新たな局面を迎えている。


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 新政権発足後、李大統領は初の海外訪問先として日本を選択し、石破総理と首脳会談を行った。今回の会談では「未来志向」で関係を安定的に発展させていくことで一致。旧政権下で冷え込んだ両国関係を、経済や安全保障といった分野で再構築する姿勢を鮮明にした。これは、安全保障環境の激変に対応するため、日米韓の連携を重視するという新政権の現実路線を象徴する動きであり、韓国社会に広がる「反日疲れ」や、より実利的な国益を追求する国民感情を反映している。

 民間レベルでは、日本の文化や商品への関心は一過性のブームに留まらない。韓国の若者たちは、日本のファッションやアニメ、音楽に強い関心を抱き、SNSを通じて日本の文化を積極的に消費している。ユニクロやアサヒビールなどの日本製品が再び人気を博しているだけでなく、日韓間の文化交流は双方向になりつつある。

 韓国発のバッグブランド「OSOI」が、日本国内初となる単独実店舗を新宿と渋谷にオープンした。また、韓国発のスキンケアブランド「AROMATICA」は、日本のLINEギフトで男性向けギフトとして人気を集めるなど、韓国ブランドが日本市場で存在感を高めている。

 経済面でも関係は深化している。ウォーレン・バフェット氏が日本の商社株への追加投資を表明したこともあり、日本の証券市場への韓国人投資家の関心が高まっている。日本を単なる観光先としてだけでなく、投資先としても捉える層が増えたことで、両国の経済的な結びつきはより強固なものになっている。


 このように、韓国では「イエス・ジャパン」という民間の動きに加え、新政権による日韓関係の再構築への強い意志が重なり、関係改善の機運は高まっている。歴史問題を乗り越え、経済・安全保障といった分野での協力を深化させることができるか。新政権の舵取りと、民間レベルの交流の継続が今後の日韓関係の行方を左右する鍵となるだろう。
【編集:af】
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