フィリピン最大の航空会社、セブ・パシフィック航空は2025年11月7日、最新の事業戦略と業績を発表した。25年度上期の収益は630億フィリピンペソ(前年同期比23%増)となり、営業利益率は48%と高水準を達成。
世界的な航空会社のなかでもトップ5に入る収益性を実現し、アジア域内の旅行需要回復を追い風に収益基盤を固めている。

その他の写真:アレクサンダー・ラオ社長兼最高商務責任者(COO)右、駐日フィリピン共和国のミレーン・J・ガルシア・アルバノ特命全権大使(左)

 同社はマニラ、セブなど国内主要都市とアジア、オーストラリア、中東を結ぶ広範なネットワークを展開。2024年の旅客数は2,450万人を数え、CAPA(アジア太平洋航空センター)から「ローコスト・エアライン・オブ・ザ・イヤー2025」に選出されるなど、LCCとしての競争力の高さが際立つ。

 戦略説明会後、アレクサンダー・ラオ社長兼最高商務責任者(COO)は、日本市場における路線戦略について言及した。特に、フィリピン南部ミンダナオ島の主要都市ダバオへの日本からの直行便就航の可能性が質問されたのに対し、ラオCOOは「市場調査は継続しているが、現時点では就航予定はない」と回答。費用対効果を重視するLCCとして、フィリピン地方都市から日本路線の拡大については慎重な姿勢を示した。

 セブ・パシフィック航空の低コスト戦略は、日本の海外旅行市場に構造的な変化をもたらしている。同社の提供する「運賃の安さ」と「必要なサービスだけを選べる柔軟性」は、日本の物価水準と比較して魅力度が高く、特に価格重視の旅行者層のアウトバウンド(海外旅行)需要を喚起している。
【編集:安麻比呂】
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