高市総理の台湾有事に関する国会答弁が、日中間の外交関係に新たな緊張をもたらしている。答弁では、台湾での武力衝突が日本の平和と安全に重大な影響を与える「国家存立危機事態」になり得るとの見解が示された。
これは、安全保障関連法に基づき、日本が緊密な同盟国(主に米国)に対し、集団的自衛権を行使して後方支援を行う根拠となり得ることを意味する。

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 台湾海峡を巡る緊張が、日本の安全保障体制における実効的な対応を迫る事態となっている。

 この問題は、単なる軍事的な論争に留まらない。経済面では、世界の半導体供給の約6割を担う台湾の生産能力が有事により停止すれば、日本の自動車産業をはじめとするグローバルサプライチェーンに壊滅的な影響が及ぶ。さらに、中東からの原油輸入など、日本の生命線である海上輸送路(シーレーン)は、台湾南側のバシー海峡を経由しており、同海峡が仮想敵国の支配下に置かれることは、エネルギー安全保障上の深刻な危機を招く。

 防衛上の懸念も高まっている。中国側が台湾侵攻の際に外交的な取引材料として利用するため、日本の先島諸島(石垣島、宮古島など)を攻撃・占領する可能性が指摘されており、この地域が台湾有事の「防波堤」であると同時に、「次なる標的」となり得るという認識が広がる。防衛当局が南西諸島でミサイル基地の整備を急ぐのは、こうしたリスクへの対応が不可欠であるためだ。

 一方、中国側は、この答弁を口実として日本産海産物への輸入規制などの経済的・外交的圧力を発動した。しかし、国内世論や市場の反応は限定的で、中国の圧力の効果は過去に比べて薄れている。最終的に中国の国営メディアは「日本はすでに十分な代価を支払った」とする論評を国内向けに発表し、これ以上の追求を避けて「メンツを保ちながら収束を図る」姿勢を見せた。

 今回の事態は、日本の安全保障政策が曖昧さを脱し、国際情勢に対応して明確な抑止力へと移行しつつある中、日中関係が新たなステージに入ったことを示唆している。

【編集:af】
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