世界の建設業では、人手不足と技術革新が同時に進んでいる。危険な高所作業や反復業務をドローン、遠隔施工、AIへ移す一方、建物ごとに異なる状態を見極め、顧客へ説明し、現場で仕上げる仕事には人の経験が残る。
国土交通省も「i-Construction 2.0」で、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進め、生産性を1.5倍にする目標を掲げている。

【その他の写真:地域を限定し、施工後の点検まで住まいを支える株式会社りふぉーむカンパニー】

効率化が進むほど、地域のリフォーム会社には別の力も求められる。住宅の状態は一軒ごとに異なり、家族の事情や予算も同じではない。機械が異常箇所を示しても、何を今直し、何を見守るのかを決めるのは人だ。技術を使いながら、顧客との信頼をどう残すかが経営の分かれ目になる。

株式会社りふぉーむカンパニーの三嶋謙吾代表は、18歳から住宅の修理・修繕に携わり、取材時点で業界歴は約30年に及ぶ。実家や親族がリフォーム業に関わる環境から現場へ入り、職人や顧客の近くで経験を積んだ。現在の肩書に至るまで、営業だけでも経営だけでもなく、住まいの不具合と向き合う時間を重ねてきた。

転機は、松尾会長とともに親会社の株式会社カンパニーズを立ち上げ、二人で地域事業を始めたことだった。創業時に話していたのは、「どうせ事業をするなら、息の長い仕事にしたい」ということだったという。短期的な受注を追うより、地元で繰り返し選ばれる会社をつくる。その考えが、現在の対応エリアやアフターサービスへつながっている。


事業を始めた理由について、三嶋氏は利益を得たい思いも正直にあったと振り返る。ただ、長く利益を出し続ける最も近い道は、地域の顧客へ誠実に向き合い、喜んでもらうことだと現場で気づいた。利益と顧客満足を対立させるのではなく、顧客から繰り返し選ばれた結果として数字が残ると考えるようになった。

約5年前に社長へ就任すると、その数字の意味はさらに重くなった。三嶋氏は売上を「お客様に選んでもらい、喜んでもらった通知表」と社員へ伝えている。前期より数字が下がった時、顧客や市場のせいにせず、提案の仕方、会議、情報共有など、自社側に改善すべき点がなかったかを探すという。

この考え方は、売上目標を社員へ押しつける発想とは異なる。数字を顧客満足の結果として捉えれば、改善の入口は営業量だけではなく、説明の分かりやすさ、施工品質、連絡の速さ、工事後の対応まで広がる。決算書を経営者個人の責任として受け止めるようになったことが、現場経験者から組織を導く代表への変化だった。

一方、現場のやり方を昔のまま守る考えでもない。屋根や高い外壁の確認にはドローンを活用し、危険と時間の負担を減らす。AIやデジタル技術も、情報整理や効率化に使える領域は取り入れる。
それによって生まれた時間を、原因の判断、施工、顧客への説明など、人にしか担えない仕事へ戻そうとしている。

技術と人の役割を分ける視点は、組織づくりにも表れる。取材時点では9人の体制で、営業、施工、アフターサービスなどを分業していた。今後の成長には人材を増やす必要があるが、採用で重視するのは学歴より誠実さだという。現場作業だけを仕事と捉えず、顧客の話を聞く、調査する、近隣へ説明するなど、多様な人材が強みを発揮できる役割を整えようとしている。

その先に掲げるのが「地域一番店」である。目標は広い地域へ無理に進出することではなく、枚方や周辺地域で住まいに困った人が、最初に相談先として思い出す会社になることだ。インタビューでは地域シェア25%や売上10億円を一つの目安として挙げたが、これは現在の実績ではなく将来目標である。

地域一番店を名乗るには、売上だけでは足りない。雨漏りの相談へ早く向かい、工事後も訪ね、人材が増えても同じ説明と対応を続けられるかが問われる。三嶋氏が約30年の現場経験を持つからこそ、拡大の速度より、地域で信用を失わない仕組みを先に整える意味を理解している。

第三者の視点で評価できるのは、最新技術を人の代替として語らず、危険や単純作業を減らした先に、人の判断と対話を残そうとしている点だ。
現場経験、決算への責任、分業による人材育成がつながれば、地域一番店という目標は単なる規模の表現ではなく、相談の質を測る目標となり得る。

取材を通じ、三嶋氏の経営は、30年の経験を過去の実績として飾るのではなく、次の人が働きやすく、顧客が相談しやすい仕組みへ変える挑戦だと感じた。地域で選ばれた結果を「通知表」として受け止める経営が、どのような組織とサービスを育てるのか。その歩みを見守りたい。
【取材/執筆:Y.U】
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