【その他の写真:中国のイメージ】
2021年10月、中国共産党は、国民の美意識に介入を始めた。世間の価値観が乱れ、厚化粧の女性、あるいは女性っぽい男性がもてはやされるのは遺憾なこととしている。新型コロナウィルスが中国で発生してから、約2年。世界各国の人間はマスク生活を余儀なくされ、顔の半分は隠されている。アイメイク用品の売れ行きは順調ではあるが、口紅やファンデーションの売れ行きは激的に落ちている。厚化粧の女性など、通りすがりには見かけなくなったのだが、中国にはいるのだろうか。
中国は、まずやり玉に、日本のジャニーズ事務所所属のタレントをあげている。性別不明の美男子で「病的」だと。お言葉を返すようだが、ジャニーズよりも、韓流タレントの方が性別不明に見えるのは、価値観の相違だろうか。
ジャニーズ批判だけではない。男性同士の恋愛を美化するボーイズラブも中国ではNGだ。美意識が乱れると社会主義の価値観に悪影響を及ぼすと主張する。労働や民族の英雄を愛する「健康的な美意識」を中国政府は育てたいと言う意向だ。
習近平指導部は、貧困の格差解消として「共同富裕」を掲げている。富裕層の象徴としての芸能人。それが攻撃対象であり、売らんがために芸能業界が「ゆがんだ美意識」を植え付けているとする。では、なぜ、中国にも存在する、韓流そっくりの男性アイドルグループの名前を出さずに、日本のジャニーズを例えに持ってくるのだろう。ジャニーズではないが、日本にはカミングアウトして心からホッとして活き活きと活動の場を広げている歌手も多いというのに。
中国政府の弾圧は、若者の心には響かない。仮に中国国内で美しさが追及できなければ、若者はできる国にいつでも飛び立てる。そこは富裕層だからだ。ジェンダーの機運を無視していたら、痛い目に合うのは、政府の方だ。
【編集:fa】