静岡土産と言うと安倍川餅?うなぎパイ?他にもおさえておきたい品があります。静岡のお土産の中で、お茶好きの筆者が推す品は「お茶羊羹」です。
(もちろんお茶が一番ですが。)
案外ノーマークのこの「お茶羊羹」、お茶処静岡が本領発揮した絶品の和菓子です。抹茶羊羹もありますが、抹茶ではなくて煎茶を使った羊羹はくどくなくお茶の風味が爽やかな品です。

茶処静岡県内には茶羊羹がいくつもありますが、上級茶を生産する川根の茶羊羹が有名です。静岡県の大井川上流域の川根地区(旧川根町、川根本町)の一帯は、山間部の昼夜の寒暖差や川霧など、良質なお茶が生産するのに適しており、香気が優れた上級茶の産地です。

その川根茶で作った茶羊羹の中でも、人気なのが「三浦製菓」のお茶羊羹です。茶つぼのような筒型の一口サイズの羊羹で、その形から静岡県民に愛されている品です。また、一口サイズのためお土産にも最適で、県外の人たちにも好評です。
Twitterでも「この羊羹めっちゃ美味しいんですよ。静岡県民ならばわかりますよね。」や、「そして伝説の茶羊羹見つけた!!!久しぶりに食べる!羊羹はこれが一番美味しいと思う!」といった美味しさの虜(とりこ)になっているつぶやきが見られます。

他のお茶羊羹の画像を見るには元記事へ

外側のパッケージには「三浦製菓」のお茶羊羹の最大特徴が記載されています。
「底の部分を押し上げてお召し上がり下さい。」
上の白い厚紙をとって、筒状の容器の底を親指で押し上げると、中のお茶羊羹が上から出てくるしくみです。
底から押し上げた部分を食べるので手が汚れず便利です。このパッケージを考案した店主の方に拍手です。

お皿に出すと、緑茶がそのまま円柱に固まったようです。川根茶を粉末にして羊羹の中に練り込んでいるので、所々に小さなお茶が透けて見えます。お店によるとお茶羊羹を味つけするには、風味の強い苦み、しぶみの調和のとれた川根茶は最適とのこと。

お値段も手ごろで気軽に購入できる3個、5個入りの少量セットから、おもたせとして持っていくのに最適な箱入りの10個、20個セットなどが揃っています。静岡以外では入手は難しいので、何気にもらったらうれしいです。種類もお茶羊羹以外にも、栗入りお茶羊羹やゆず羊羹や小豆の羊羹(夕秋穂)などがあります。

◆茶羊羹専門店「杉本屋」の川根茶100%の茶羊羹

川根茶羊羹といえば他にもまだまだ名店があります。
昭和24年創業の茶羊羹専門店「杉本屋」さんの茶羊羹は、丸い筒型ではなくサイコロ型で、どことなく上品な佇まいです。川根本町、千頭駅前通り沿いに店舗はあります。

包装を開けると緑色のサイコロ型の羊羹がお目見え。
川根茶100%の羊羹は、色、味、香りともに絶妙の逸品です。Twitterでは「茶羊羹、ウイスキーに合う」といった意見も。川根茶の玉露のような濃厚な味とウイスキーがあわさるとどうなるのか、気になるところです。

◆意外にある!?日本各地のお茶羊羹

ご紹介した三浦製菓、杉本屋のお茶羊羹以外にも、静岡には様々なお茶羊羹があります。中には浜松生まれのゆるキャラ「出世大名家康くん」のお茶羊羹なんてものも。静岡といえば徳川家康公。出世大名家康くんが「お茶にはカテキンが入っているのじゃ」とお茶をPRしています。「出世大名家康くん」の茶羊羹がどこまで出世するか、あたたかい目で見守っていきたいと思います。

静岡県内でも伊豆長岡や清水、静岡、浜松など、各地でお茶羊羹は販売されています。静岡以外にも八女、知覧、さらには、台湾など、各地の茶処にも茶羊羹はあります。認知度はあまり高くはないお茶羊羹ですが意外と各地にあります。その地域のお茶や、お店ごとによって風味が変わるので、食べ比べてみるのも楽しいかもしれません。

筆者も以前食べ比べをしてみましたが、お茶羊羹の色や味、香り、食感がそれぞれ違うので面白かったです。

まだお茶羊羹を食べたことのない方は、お茶のお供にお茶羊羹を一度試してみては。

(satomin@日本茶インストラクター)
編集部おすすめ