歌舞伎俳優市川海老蔵さんが、妻でフリーアナウンサーの小林麻央さんが進行性の乳がんで、1年8カ月ものあいだ闘病中であることを明かしました。「かなりのスピードで進行している。
深刻な状況」と説明されており、現在は一時退院していて、通院治療をしているとのことでした。日本人女性が生涯で乳がんにかかるリスクは12人に1人といわれ、女性がかかるガンで一番多いのが乳がんといわれています。乳がんの検診や治療についてご紹介します。

●目次
1、乳がんってどんな病気?
2、乳がんの原因は?
3、乳がんを患った芸能人
4、乳がんの検診ってどんなことをするの?
5、精密検査(二次検診)が必要と診断されたら?
6、正しく身につけて! 乳がんの自己検診法

乳がんってどんな病気?
乳房組織に発生する癌腫のこと。乳房には、「脂肪」と「乳腺」組織があります。
乳がんとは「乳腺」から発生する癌で、脂肪からは発生しません。

大人の女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に15~20個並んでいます。それぞれの乳腺は小葉に分かれ、小葉は乳管という管でつながっています。
乳がんの約90%はこの乳管から発生し、乳管がんと呼ばれます。小葉から発生する乳がんが約5~10%あり、小葉がんと呼ばれます。

乳管内、あるいは小葉内にとどまっていて血管やリンパ管に浸潤していないものを、非浸潤(ひしんじゅん)がんといいます。非浸潤性乳管がんは比較的少数です。
浸潤がんは血管やリンパ管から全身への血流にのり、リンパ節、骨、肺、肝臓、脳などに転移します。
ヘルスケア-乳がんの症状や原因・診断と治療方法

乳がんの原因は?

乳がんの原因は単一ではありません。乳がんを発症する危険因子(リスク)としては、近親者に乳がんにかかった人がいること、過去に乳頭腫(にゅうとうしゅ)や線維腺腫(せんいせんしゅ)などのリスク病変にかかったこと、片側の乳がんにかかったことなどが最も重要視されます。これらは遺伝的要因によるものです。そのほかにも出産を経験していないこと、授乳をあまりしていないことなどもリスクになります。
これらは乳がんの発生の母地となる乳腺が、萎縮せずに長期間存在することを意味します。また卵胞ホルモンであるエストロゲンの関与が発がんや増殖、転移に関係していることも知られており、経口のホルモン薬も長期にわたって服用すると発がんのリスクを上げるといわれています。しかし、近年の日本における乳がんの急増は、これだけでは説明しきれません。未知の要因が多く関係しているものと思われます。

下記のリスクは一応の目安です。予防のために少しでもリスクを軽減したり、早期発見に気をつける上で、参考にしてください。

○40歳以上
○母親や姉妹など家族に乳がんになった人がいる
○良性の乳腺疾患がある(あった)
○出産経験がない
○初産年齢が30歳以上
○放射線被曝が頻回または高線量
○初潮年齢が早い(11歳以下)
○閉経年齢が遅い(55歳以上)
○授乳経験がない、または短い
○閉経後の肥満
○身長が高い
○ホルモン補充療法(HRT)を長期間続けている
○経口避妊薬(ОC)を長期間使用した
○強い飲酒習慣がある
○高カロリー、高脂肪の食事をとっている など
ヘルスケア-乳がんの検診と検査

乳がんを患った芸能人

○小林麻央
2016年 6月9日、乳がんを患っていることが、夫・市川海老蔵の記者会見において明らかにされた。

小林麻央とは – goo Wikipedia

○南果歩
2016年 3月11日に乳がんのステージ1の診断により手術をした。
南果歩とは – goo Wikipedia

○北斗晶
2015年 9月23日、乳がんで入院中であり、右胸全摘手術をすることを明らかにした。
9月24日に右乳房全摘出手術を受け、29日にわきのリンパまで転移したがんを取り除いた手術で、わきの神経も取ったことも告白した。
北斗晶とは – goo Wikipedia

○生稲晃子
2011年 4月28日、43歳の誕生日に乳がんが発見される。
5月6日に腫瘍のある部分を切除する乳房温存手術を受け、放射線照射と薬による治療を続けた。
2012年 夏、再発が判明。がんのできた部分を切除する再手術を受ける。
2013年 10月に3度目の切除手術、同年12月27日に右胸の全摘手術を受けた。
2015年 10月27日、右乳房の再建手術を受ける。
生稲晃子とは – goo Wikipedia

○田中好子(満55歳没)
1992年 乳がんが見つかり、幾度か再発を繰り返したが、いずれも早期発見で治療を受ける。
2010年 10月に十二指腸潰瘍を患い、その治療のため絶食をしたことで体力・免疫力が低下、乳がんが再発。
2011年 2月には、がん細胞組織が急激に増殖するラッシュ状態となり、肺や肝臓にもがんが転移した。

4月21日午後7時4分頃、懸命の治療も甲斐なく、国際医療福祉大学三田病院にて逝去。
田中好子とは – goo Wikipedia

○樹木希林
2005年 1月、乳癌が判明して摘出手術を受ける。
樹木希林とは – goo Wikipedia

乳がんの検診ってどんなことをするの?
乳がんの早期発見のためには、自治体や職場が実施している「乳がん検診」を定期的に受けることが大切です。自治体を中心とした集団検診としては、40歳以上の女性は2年に1回、乳がん検診を受けることがすすめられています。健康保険組合などによっては、毎年の検診をすすめている場合もあったり、35歳からの検診が可能なこともあります。

家族に乳がん経験者がいる場合などは40歳になるのを待たず、20歳代のうちに、一度乳腺の専門クリニックなどで、自主的に乳がん検診を受けておくと安心です。その後の検診の受け方や、日常生活の注意点などを相談しておくとよいでしょう。家族歴がなくても、30歳代の乳がんも増加しているので、30歳になったらかかりつけ医と相談して、自分に合った検診を始めたほうがよいでしょう。

【乳がん検診(一次検診)】
●問診
年齢、月経周期、妊娠・分娩・授乳の経歴、家族の乳がん歴などや、体調などを尋ねます。

●視触診
視診は、医師が乳房を観察して、以下のような乳房の異常はないかをチェックします。
・皮膚の陥没/乳房の異常な膨らみ/むくみ(浮腫)/皮膚の潰瘍/乳頭陥没/乳頭びらん(ただれ)

触診は、医師が指で乳房と脇の下を触れて、以下の点をチェックします。
・腫瘤(しこり)の有無・大きさ・位置・硬さ・動くか/分泌物の有無/脇の下のしこり

視触診のチェック項目は、自己検診(乳房の自己チェック)のときの参考になります。


●マンモグラフィ検査
乳房専用のX線装置を使った検査です。透明のプラスチック板で乳房を挟み、平らに延ばして撮影します。乳房を上下から挟む場合と、左右から挟む場合の2方向からの撮影が基本ですが、1方向からの撮影としているところもあります。
X線撮影なので、妊娠している人や妊娠の可能性のある人は受けられません。
医師の視触診や自己検診では発見できない小さなしこりや、微細石灰化と呼ばれる状態(非常に小さな白い点)の発見に適しています。若い人では乳腺が発達しているため乳房全体が白く映り、白く映るしこりを判別しにくい場合があります。

●超音波(エコー)検査
超音波を使って乳房をチェックします。医師の視触診や自己検診では発見できない小さなしこりを発見したり、発見したしこりが良性か悪性かの診断を行います。ただし、微細石灰化を映すことは不得意です。
放射線の被曝を避けたい妊婦、乳腺が発達している若年者、乳房に痛みや炎症や外傷などがあってマンモグラフィの圧迫に耐えられない場合など、超音波検査が適しています。

精密検査(二次検診)が必要と診断されたら?

乳がん検診(一次検診)で乳がんの可能性が疑われると、精密検査(二次検診)が必要になります。

【病理検査】
乳がんの存在が疑われる部分(しこりや微細石灰化の存在する部分)から、細胞や組織を採取して、顕微鏡で詳しく調べることを病理検査といいます。
細胞の形状や並び方などから、良性か悪性か、また悪性の度合いの診断を行います。

●細胞診
細胞診には、細い針を刺して細胞を採取する穿刺(せんし)細胞診と、乳頭からの分泌液を採取する分泌液細胞診があります。穿刺細胞診は手で触れるしこりに細い針を刺して、ごく少量の組織を採取します。

●組織診
しこりや微細石灰化の部分の組織をやや太めの針で採取する「針生検」と、小さなメスでしこりの一部を切り取る「外科的生検」があります。細胞診より採取量が多いので、確実に診断を行うと同時に、治療方針に必要な乳がんの性質診断を行うことができます。組織診では、局所麻酔を行います。

●吸引式針生検
マンモグラフィや超音波の画像を確認しながら、やや太目の針を刺し、吸引をかけながら、針の側面にある吸引口から組織を採取します。1回の穿刺で多くの組織を採取でき、より詳しい診断を行うことができます。局所麻酔の上、行います。

【画像検査】
しこりや石灰化の有無、大きさや形、周囲への広がり、乳房以外の臓器、例えば肺、肝臓、脳などや骨への転移の有無を調べるために画像検査を行います。

●CT検査
コンピューター断層撮影検査ともいいます。X線を体の外周から照射し、組織に吸収されたX線量をコンピューターで処理し、体内の断層像(輪切り像)を描き出す画像検査です。


●MRI検査
磁気共鳴画像検査ともいいます。体に強い電磁波を作用させることで、電子が共鳴して放出したエネルギーをコンピューターで処理し、画像化する検査です。

●骨シンチグラム検査(アイソトープ検査)
骨への転移の有無を調べる検査法です。ごく微量のアイソトープ(放射性同位元素)を血液内に注入し、それが組織に集積する様子をガンマ線カメラで撮影します。骨折や炎症、がんの転移などで、骨の再生が活発に起きている箇所にアイソトープが集積します。
ヘルスケア-乳がんの検診と検査

正しく身につけて! 乳がんの自己検診法

乳がんは自分で見て触って、かなり初期のうちに発見することができるがんです。これは、進行して自覚症状が出るまで気づきにくいほかのがんにはない利点。この利点を活かすには、定期的に自己検診を行うことが決め手です。ぜひ正しい自己検診の方法を身につけ、そして実行してください。

●鏡で見ながらチェック
乳房の自然な曲線に微妙な乱れ(引きつれ、くぼみ、ふくらみ、ただれなど)がないか、チェックしましょう。

(1)鏡の前にリラックスして立ち、乳房の大きさ、形、色、乳頭のただれなどの変化がないか、よく観察しましょう。両腕を下ろしたり、腰に当てたり、頭の後ろで組んだりしながら左右で違うところはないか、いつもと違うところはないかチェックします。

(2)バンザイをすると乳房の奥の大胸筋が緊張して乳房が平たくなり、形の変化がよくわかります。また、前かがみになったり後ろにそったり、横を向いたりして、いろいろな方向から乳房を観察しましょう。

(2)しこりの調べ方は、次の「渦巻き式」や「平行線式」を用いると、くまなく触診することができます。

渦巻き式 親指以外の4本の指を軽くそろえ、10円玉大の「の」の字を描くように指の腹をすべらせます。乳頭周辺から乳房の外側に向って渦巻き状に触れ、しこりやひっかかりがないかチェックします。押す強さを何段階か変え、脇の下まで触りましょう。

平行線式 親指以外の4本の指を軽くそろえ、横方向と縦方向に平行線をひくようにすべらせチェックします。

*(1)と(2)は、就寝前にあおむけになって行ってもよいでしょう。

(3)最後に、乳房や乳首を絞るようにして、乳首から分泌物が出ないかチェックします。血液混じりの分泌物が出たときは、すぐに乳腺外来を受診してください。
ヘルスケア-正しく身につけて! 乳がんの自己検診法
ヘルスケア-乳がん検診が必要な本当の理由
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