男性不妊の主な原因が無精子症
まず妊娠するには、男性の精子が子宮内を通って、卵管で卵子と出会い、受精することが必要です。一度の射精には数億の精子がいますが、そのうち99%が子宮の手前で死に、子宮には数十万以下の精子のみが到着。さらに卵子まで到達できるのは、数百以下となります。精子の数が少なかったり、運動性に乏しい場合、卵管の卵子にまで到達する精子が減り、不妊の要因となります。
統計によると不妊の原因の約4割は男性にあります。その男性不妊の原因の90%が、造精機能障害です。造精機能障害とは、精子をつくりだす機能に問題があり、精子をうまくつくれない状態です。精巣や内分泌系の異常が障害を引き起こしているとされています。その造精機能障害のなかでも重い症状が「無精子症」なのです。
原因により2種類の無精子症がある
無精子症とは、精液中に1つも精子が存在しないことをいい、男性全体の1%がこれにあたるのだそう。この無精子症には、「非閉塞性無精子症」と「閉塞性無精子症」の2つがあります。
閉塞性無精子症ってどんな病気?
閉塞性無精子症とは、精巣で精子が作られていても、通り道がふさがっていて精液中に精子が出現しないもの。
閉塞性無精子症でも、治療で赤ちゃんを授かることが可能です。パートナーの女性の年齢が若い場合は、精子が通る道を再建する精路再建手術を行う場合がありますが、女性の年齢が高く、女性側にも問題がある場合は、顕微受精の方がよいこともありますので、医師とじっくり相談してください。
非閉塞性無精子症ってどんな病気?
もう一方の非閉塞性無精子症は、無精子症全体の80%に及びます。閉塞性無精子症とは違い、精子の通り道に問題はなく、精子が作られている数がごく少量のため、精液中に精子が存在しません。原因は、脳の視床下部が指令する、下垂体ホルモンの異常、または精子を作る精巣そのものの異常です。
治療は、下垂体ホルモン異常が原因の場合、自分でホルモン注射を打つ方法が保険治療適応に。ただし、あまり目立った成果はないそう。ただし、非閉塞性無精子症であってもその半分の人は、精巣内の一部で正常に精子を形成している部分があることが報告されています。精巣内の精子を手術で見つけて、顕微受精をすることで、赤ちゃんを作ることができます。
検査のリスクがあるって本当?
注意したいのが、精巣生検という精子形成の有無を診断する検査です。
そして、精巣内に精子が確認できなかった場合は、非配偶者間人工授精(AID)という選択肢があります。これは、パートナーの男性以外の精子を使って、人工授精する方法です。AID実施適応条件にあてはまっていないと、実施はできません。パートナー同士の意思確認はもちろん、倫理委員会の承認、臨床心理士のカウンセリングを2回以上受けるなど、厳しい条件があります。
男性不妊は、診断が難しいことも多数あるので専門の病院を受診するのがおすすめです。