■賃金引き上げが、増税や物価高騰下の生活を緩和する?
物価高騰や増税をはじめ、暗い話が先行している昨今、この状況は2024年も継続されるのだろうか。
「現在、円安や資源高を背景に国内の物価が高騰しています。理由として、ロシア・ウクライナの戦争などによる資源高、原油の減産やアメリカの政策金利が高くなっていることがあげられます。ただ、2024年からアメリカの利上げは終了し、利下げに転じるという見方もあります。為替相場はある程度落ち着く可能性があると考えています」(吉野さん)
とはいっても、「物価が急激に低下することは難しいと思いますね」と吉野さんは続ける。そのような状況下で政府が経済界に賃上げへの協力を要請しているなど、景気回復に前向きな動きはあるという。
「2022年から、政府は企業に対して3%の賃上げを要請しました。
賃上げへの取り組みは、まだ続くとのことだ。
「政府は2030年半ばまでに、最低賃金を1500円に引き上げるという目標を表明しました。日本労働組合総連合会(連合)も、政府の目標以上の1,600円~1,900円を目指すという意向を示しています」(吉野さん)
物価上昇圧力の緩和、賃金の上昇は、経済活動回復の追い風になる可能性があるといえよう。
■2024年、国民を悩ます社会問題解決の糸口はつかめるのか?
「少子高齢化」をはじめとする社会問題に対し、改善を促す取り組みはどの程度行われるのだろうか。
「子どもを育てる場を整えるために、育児休業を取りやすくし、夫婦が協力して子育てのできる環境作りを目指していきます。
「収入の減少が不安で育児に専念できない」という状況を、少しでも改善できるかもしれない。
訪日外国人の増加も、日本経済をよい方向へ導く要素の一つだという。
「現在は円安の恩恵もあり、割安で日本への観光旅行ができると海外渡航客が増えています。インバウンド消費が増えることで、国内景気回復への期待も高まっていると感じられます」(吉野さん)
少しずつではあるが、明るい兆しが見えてきているといえるだろう。
■2024年、暮らし向上に役立つのは何か?
先述の状況を踏まえ、吉野さんに「暮らし向上」につながる情報を教えていただいた。
「日本はこれまで『失われた30年』といわれるなど、経済の成長がほぼない状況でした。
時代に応じた金融商品には、どのようなものがあるのだろうか?
「現在は、円安や資源高の影響で物価が上昇していますが、景気を上向けるために政府は賃金の引き上げを目標にしています。さらに国民の資産を増やす施策として、『新NISA(小額投資非課税制度)』や『iDeCo(個人型確定拠出年金)』の普及に努めています。新NISAでは投資上限の拡充や非課税期間の恒久化となり、今後の資産増加へ期待ができると思います」(吉野さん)
「資産作りの方法も、物価という見方ではなく、貨幣価値を考えた資産形成が必要。インフレ率を考慮した計画が大切となります」と吉野さん。
とはいえ、預貯金や保険に頼っていた一般の人が、いきなり新たな金融商品に加入するのは、ハードルが高い場合もあるだろう。
●専門家プロフィール:吉野 裕一
FP事務所「MoneySmith」代表。相談者一人ひとりの状況に合わせた丁寧なアドバイスを心がけ、資産運用や保険、住宅ローンなど、幅広い分野の相談に対応。コラムやセミナーなどを通じて、お金の知識を広める活動も行っている。
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