お正月、親戚からポチ袋を受け取って、満面の笑みを浮かべる子供たち。
そんな姿を見て、「よかったね」と微笑ましく思う反面、親として気になってしまうのが、そのお金の行方です。
「まだ小さいし、大金を持たせるのは心配…」
そう考えて、「預かっておくね」と、親が子供からお年玉を回収し、管理している家庭も多いのではないでしょうか。
しかし、生活費が少し足りない時や、急な出費があった時。
「子供の将来のために貯金している口座だけど、少しだけ…」と、手をつけそうになってしまったことはありませんか。
親が子供のお金を管理するのは当たり前のように感じますが、それを親の都合で使うことに、法的な問題はないのでしょうか。
弁護士「管理権はあっても、使う権利はありません」
子供のお年玉を親が勝手に使うと、罪になるのでしょうか。
大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。
――子供のお年玉を親が勝手に使うと、犯罪になるのでしょうか。
驚かれるかもしれませんが、形式的には『業務上横領罪』などの犯罪が成立する可能性があります。
まず大前提として、お年玉は『子供が得た財産』であり、所有権は子供にあります。
親権者(親)には、子供の財産を管理する権限(民法824条)はありますが、それはあくまで『子供のために管理・保存する』権限であり、『親が好きに使っていい』という権利ではありません。
そのため、子供の財産を親自身の遊興費や借金返済などに流用することは、法的には許されない行為なのです。
――では、警察に捕まってしまうのですか。
いいえ、実際に逮捕されることはまずありません。
刑法には『親族相盗例(しんぞくそうとうれい)』という特例があり、親子間の窃盗や横領については、刑が免除されることになっています。
「家庭内の問題は、法律(警察)が介入せず、家庭内で解決しなさい」という考え方があるためです。
しかし、『刑罰を受けない=やっていいこと』ではありません。
民事上は、子供から「返して」と請求されれば、親は使い込んだお金を返済する義務(不当利得返還義務など)を負います。
実際に、子供が親を訴え、親に返金を命じる判決が出た事例も過去には存在します。
※写真はイメージ
――学費や生活費など、子供のために使うなら、問題ないのでしょうか。
ここが判断の難しいところですが、基本的には『親の義務の範囲内かどうか』がポイントになります。
親には子供を養う義務(扶養義務)があり、衣食住にかかる費用や、義務教育の費用などは、親が自分の稼ぎから出すべきものです。
そのため、『生活費が足りないから』といってお年玉を使うことは、本来あるべき姿とは言えません。
一方で、『子供自身が欲しがっていた高価なゲーム機を買う』『留学費用や、私立学校の入学金に充てる』といった、子供自身の利益になることであれば、許容される可能性が高いでしょう。
「預かるね」のその先にある信頼
法律上は『刑罰は受けないが、民事上の責任はある』という、少し複雑な結論となりました。
しかし、法律以上に大切なのは、やはり親子の信頼関係です。
「預かっておくね」と言ったお金が、いつの間にか消えていたと知ったら、子供はきっとお金以上に大切なものを失ったような気持ちになるでしょう。
お年玉は、子供がお金の使い方や管理を学ぶ、絶好のチャンスでもあります。
※写真はイメージ
「これはあなたの口座に入れておくね」
「将来、〇〇ちゃんの夢のために使おうね」
そんなふうに、通帳を見せながら親子で話し合う時間が、何よりの『お年玉』になるのかもしれませんね。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]

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