「警視庁電話指導官~深川真理子の事件簿~」(ホームドラマチャンネル)

東京大学工学部建築学科を卒業した才媛で、ニュース番組や教養番組など幅広く活躍してきた女優の菊川怜。当初はモデルとしてデビューし、雑誌「Ray」や東レキャンペーンガールなども務めた。

1999年に「危険な関係」(フジテレビ系)で女優デビューを果たすと、2002年12月「緑のクリスマス」(NHK)でドラマ初主演。続く2003年には「OL銭道」(テレビ朝日系)で主演を飾るなど、女優としても順調にキャリアを重ねた。

菊川怜&内藤剛志がユニークなバディを組んだ秀作「警視庁電話指導官~深川真理子の事件簿~」
警視庁電話指導官の深川真理子(菊川怜)
警視庁電話指導官の深川真理子(菊川怜)

(C)共同テレビジョン

そんな菊川が、2008年に主演した作品が「警視庁電話指導官~深川真理子の事件簿~ 警察官が見た社長殺し!密告電話が告げた意外な真犯人!!」である。土曜ワイド劇場で放送された2時間ドラマで、現場の警察官の問い合わせに答える「警視庁電話指導官」という架空の役職・深川真理子の活躍を描いている。

深川真理子(菊川怜)は、警視庁刑事総務課にある電話相談室で働く電話指導官だ。現場の警官から電話で相談を受け、速やかな職務遂行のサポートを担っている。

ある日のこと、真理子は課長の中津川(小野武彦)と管理官の青山圭子(高畑淳子)から、同じ刑事総務課の特別捜査隊の刑事・直江(内藤剛志)に、電話指導の仕事を教えてほしいと頼まれる。実は特別捜査隊は、捜査1課から左遷された刑事で構成される窓際部署。本気で電話指導の仕事をやるつもりがない直江は、真理子をだまして早退してしまう。その夜、真理子に指示を仰いだ交番勤務の警官・村松(鈴木浩介)が、住人の健康食品会社社長・鷺沼(山田明郷)の他殺体を発見。捜査1課から特別捜査隊に協力要請が入り、直江も捜査に参加する。直江は顔見知りの新聞記者・武部(勝村政信)から、鷺沼と愛人との息子・窪田(春田純一)が、捜査線上に浮かんだと聞く。
そんな折、電話相談室に「鷺沼を殺したのは第1発見者だ」との密告電話が入り、真理子と直江は村松の周辺を調べるが...。

菊川怜&内藤剛志がユニークなバディを組んだ秀作「警視庁電話指導官~深川真理子の事件簿~」

(C)共同テレビジョン

その後も、事件の影に鷺沼の会社が過去に有害な商品を発売して死者を出した事件や同社の後継者争いなどが絡み、容疑者が続々と浮かんでは消えるという2時間ドラマらしい複雑な展開を見せていく。犯人捜しを巡る本筋のストーリー展開もさることながら、なんといっても本作の魅力は設定の妙だろう。電話相談官という、ヒロインの菊川が演じるユニークな設定が新鮮で、美貌と聡明さを併せ持つ菊川のイメージにはうってつけの役どころ。警官だった父親が、職務質問中に逃走中の犯人に刺されて殉職した過去を持ち、「現場の警察官を守る」ことを使命としている。

さらに、内藤演じる直江がなんとも魅力的だ。

窓際に左遷された元エリート刑事という、男臭い哀愁を漂わせながらも、強烈なプライドを放っている。まさに内藤のポテンシャルを十二分に生かした役柄を、気負うことなく実にナチュラルに好演。事件解決に邁進する、真面目一徹のノンキャリアの叩き上げの直江が左遷された理由は、キャリア組の上司や同僚と衝突したことが原因だった。直江の人物設定など、テレ朝の土曜ワイド劇場からロングランシリーズに発展した「相棒」を思わせるユニークなバディものに仕上がっているだけに、これ一作で終わらせるのは勿体ないドラマだ。

菊川怜&内藤剛志がユニークなバディを組んだ秀作「警視庁電話指導官~深川真理子の事件簿~」

(C)共同テレビジョン

共演者では、総務課長役の小野武彦、実は直江の元妻でもある青山管理官を演じた高畑淳子の存在感が抜群。さらに村松警官を演じる鈴木浩介をはじめ、勝村正信、石丸謙二郎相島一之宇梶剛士といった面々が脇を固めて画面を引き締めている。

決して派手さこそないものの、魅力的な出演者が多く、丁寧なストーリー運びなど見どころ満載のドラマ「警視庁電話指導官~深川真理子の事件簿~ 警察官が見た社長殺し!密告電話が告げた意外な真犯人!!」。単発作品ゆえに初回放送ではあまり話題にはならなかったものの、菊川怜&内藤剛志の魅力を存分に楽しむことができるかつ、刑事ドラマファンには見て損のない一作である。

文=渡辺敏樹

放送情報【スカパー!】

警視庁電話指導官~深川真理子の事件簿~
放送日時:5月11日(土)22:30~
放送チャンネル:ホームドラマチャンネル 韓流・時代劇・国内ドラマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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