杉咲花×今泉力哉タッグによるドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」

主演・杉咲花、監督&脚本・今泉力哉のタッグによる、水曜ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」(日本テレビ系)が、2026年1月14日(水)よりスタートする。『愛がなんだ』(2019年)、『街の上で』(2021年)、『ちひろさん』(2023年)など、独特の空気感で恋愛や人間関係の機微を描き続けてきた映画監督・今泉力哉が、初めて地上波プライム帯の連続ドラマでオリジナル脚本・監督を務める。

俳優・杉咲花が何度か組んできた今泉監督と共に企画段階から生み出した本作は、日常の中に潜む名前のつかない感情や言葉にならない時間を丁寧にすくい取る会話劇だ。

主人公の土田文菜(あやな/杉咲花)は27歳。これまでの恋愛経験や叶わなかった想いなどから、人を好きになるとはどういうことなのか分からなくなっていた。そんなとき、夜のコインランドリーで出会った真面目な性格の美容師・佐伯ゆきお(成田凌)と出会い、つきあうことに。文菜は、学生時代からの知り合いで自分のことを好きな早瀬小太郎(岡山天音)や、お互いに恋愛感情をもつ先輩の小説家・山田線(内堀太郎)などと過ごす日々の中で、ゆきおとの関係を続けていく。

杉咲と今泉監督に、作品が生まれた経緯から、互いへの信頼、そして本作に込めた思いまで、たっぷりと語り合ってもらった。

杉咲花「今泉(力哉)監督ならではの視点に、たまらない気持ちで脚本を読んでいます」と語る、ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」【杉咲花×今泉力哉対談インタビュー】
「セリフが多くて、毎日冷や汗をかいています(笑)」と語る杉咲花
「セリフが多くて、毎日冷や汗をかいています(笑)」と語る杉咲花

(C)日本テレビ

――今泉さんはプライム帯の連続ドラマは初監督。これまで作ってきた映画の多くと同じようにオリジナル脚本とのことですが、どのような経緯で企画がスタートしたのでしょうか?

今泉「これまで映画を多く作ってきましたが、テレビドラマを避けていたわけではなく、実は子どもの頃はめちゃくちゃテレビっ子でした。今回、日本テレビさんから『杉咲花さんと一緒に何かやりませんか』というオファーをいただいてお引き受けしました。ですので、先に物語や設定が決まっていてそこに合う主役を探したわけではなく、『杉咲さん主演』というところからスタートし、企画を考えていった形になります」

――主人公の文菜は杉咲さんへの「あて書き」ということですね

今泉「そうです。とはいえ、自分が以前から興味を持っていた恋愛に関するテーマや悩みを杉咲さんならどう演じてくれるだろうか、という期待を込めて書きました」

――杉咲さんも企画段階から制作に参加しているそうですが、完成した脚本を読まれた際の率直な感想をお聞かせください

杉咲「文菜と、文菜を取り巻く人たちが、ぐるぐると思考を巡らせながら、ひたすら人と出会って会話をしていく。ドラマチックな展開として想起されるような大事件は起きないし、登場人物が劇的な成長を遂げるわけでもない。

その穏やかさがとても好きでした。そして、そういった一見ささやかな事柄の中にも、その人物なりの悲しみや悩み、思いやりがあって。このドラマはそういうところにじっくりと焦点が当たっているんです」

――映画ファンに愛される独特の『今泉ワールド』がドラマでも見られるということですね

杉咲「通常ならドラマとしてあまり取り上げられないような部分というか、シーンとシーンの間にきっと繰り広げられているであろう、本当にささやかな瞬間が詰まった作品になっていて。今泉さんならではの細やかな視点と、その優しさ、温度の低さが脚本の端々から感じられて、ト書きひとつとってもたまらない気持ちで読んでいます」

杉咲花「今泉(力哉)監督ならではの視点に、たまらない気持ちで脚本を読んでいます」と語る、ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」【杉咲花×今泉力哉対談インタビュー】
「冬のなんかさ、春のなんかね」
「冬のなんかさ、春のなんかね」

(C)日本テレビ

――今泉監督といえば、恋愛映画の名手として知られていますが、今回のドラマではどのようなテーマを描こうとされたのでしょうか?

今泉「誰かと誰かが出会って結ばれていく王道のラブストーリーではなく、もっと日常の中にある、あまり取り上げられないような、でもそれで苦しんでいる人は確実にいる『悩み』について描写したいと思いました。例えば、20代後半くらいになると『まっすぐに相手を好きになる』こと自体が難しくなってくることも...。若い頃はただ『好き』と思えていた感情が、経験を重ねることでグレーになったり、『つきあう』とか『好き』ということ自体を疑ってしまったり。なかなか好きな人ができない、恋愛がよくわからない、そんな人たちも自分を投影して見られるような話になればいいなと思いました。そもそも恋愛って、しなくてもいいものですからね」

――杉咲さんはご自身が演じる文菜にどのような魅力を感じましたか?

杉咲「文菜は、何というか、すごく寂しい人なのではないかと脚本を読んで感じました。それは時間の有限性やすべての出会いには必ず別れがつきまとう、ということに対しての感度の高さというか。そういうことから、どうしようもなく寂しい人なんじゃないかなと感じたんです。私自身もその感覚を理解できる部分がある気がするのですが、実際の自分はそこで線を引く方ではないので、文菜の悲しみは底知れなくて。今は、その根源にあるものをのぞいてみたい、そこに触れてみたいという思いです」

――今泉作品らしい会話劇ということで、台本を拝見するとセリフ量が膨大ですね

杉咲「セリフが多くて、繊細で、本当に毎日冷や汗をかいています(笑)。

今泉さんの脚本なので覚悟はしていましたが、想像以上でした(笑)」

今泉「通常のドラマだと、50分枠なら50シーン、映画なら100シーン前後というのが相場ですが、今回は1話あたり25シーンくらいで構成されていて。単純計算で1シーン2分以上、1シーン10分みたいなシーンもたくさんあります。これは本当に芝居が良くないと成立しないというか、俳優に力がないと成り立たない脚本になってしまいました」

――最初に本読みをした際は、いかがでしたか?

今泉「杉咲さんの声のトーンや芝居の温度を想像しながら脚本を書くわけですが、本読みの時点で既に2ケ所くらい『このセリフ、こんな言い方するんだ』『こんなに面白くなるの?』って驚かされる瞬間があって。その発し方ひとつで色が変わる。本読みに立ち会っていたスタッフも含めて笑いが起きたり、感動したり。杉咲さんに『すごいですね』と伝えたら、笑いながら『本番で同じことはもうできないかもです(笑)』って言っていました」

杉咲「あはは(笑)。本読みって、衣装も着ていなければメイクもしていない、半分『素』みたいな状態で台詞を話すので、不思議な感覚なんです。毎度のことながら、すごくすごく緊張しましたが、本読みを経て、この物語のもつ温度に触れられたような気がして。少しだけホッとしました」

杉咲花「今泉(力哉)監督ならではの視点に、たまらない気持ちで脚本を読んでいます」と語る、ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」【杉咲花×今泉力哉対談インタビュー】
「冬のなんかさ、春のなんかね」
「冬のなんかさ、春のなんかね」

(C)日本テレビ

――今泉監督の作品では、映画『街の上で』で元カレ元カノなど男女4人がばったり出くわすシーンのように観客が爆笑するところがありますが、今回も文菜の周囲にはさまざまな人物がいるということで、そういった場面は期待できますか?

今泉「鉢合わせも含め、笑いや気まずさなどのおかしみのついては積極的に描いています。僕が目指しているのは『ここが笑いどころですよ』という笑いの取り方ではなく、登場人物たちはいたって真剣で、その一生懸命さが空回ってしまったり、気まずい空気が流れたりすることで生まれる笑い。今回も彼らがそこに真剣に存在しているからこそ生じる『ズレ』みたいなものを大切に撮ろうと思います」

――『冬のなんかさ、春のなんかね』というタイトルは、どのように決まったのでしょうか?

今泉「すごく悩みました。このドラマには、『なんかさ』とか『なんかね』といった、一見意味を持たないような言葉がたくさん出てきます。

例えば、動画配信などの映像媒体ですと、そういう言葉や『間』は編集で積極的にカットされテンポを詰めることが多い。でもその『意味をなさない言葉』にこそ、その人がどれだけ真剣に考えているかが表れたり、大切な時間が宿っていたりする気がして。でも迷っていたので、杉咲さんや一部のスタッフにも5、6個くらいタイトル案を提示して相談しました。結局、杉咲さんの一押しではないタイトルに決めたんですけど(笑)」

杉咲「あはは(笑)。決して気に入っていないわけではありません。あの段階で、私も含めた各部署の人々に『自分はこのタイトルが好き』『なぜならこんな物語だと思うから』という思い思いの意見があって。それ自体があまり見ない光景というか、自分にとっては初めての出来事でした。まだクランクインも控えた時期に、みんなの中にそれだけの思い入れがすでにあることに対して、グッときてしまいました」

――最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします

今泉「杉咲さんが演じる文菜は、万人から愛されるキャラクターではないかもしれません。人によっては理解できなかったり、嫌悪感を抱くかもしれない人物です。でも人間って、その人の弱さやだらしなさ、ずるさも含めて魅力的になると思っていて。僕は、このドラマを見て、『これは私のことだ』『私だけはこの痛みを知っている』と感じてくれる人がいると信じています。そういうものがテレビという媒体で流れることはとてもうれしいです。

楽しんでもらえたら幸いです」

杉咲「文菜は人を好きになることから意識的に距離を置いてしまう自分自身に葛藤し、悩みの渦の中にいる人ですが、失敗や反省もしながら、なぜそうなってしまうのかとか、人との関わり合いに対して、自分なりの答えを見つけだそうとする姿が魅力的。視聴者の方々にとって、さまざまな登場人物から自分の姿を見つけ出せるような瞬間があったらいいなと思っています。私にとっては夢のような座組みで、水曜という週の折り返しの夜に、息抜きになるようなドラマを目指せたらいいなと思っています」

取材・文=小田慶子

水曜ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」公式サイトはこちら

放送情報

水曜ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」
放送日時:2026年1月14日(水)22:00~ ※毎週(水)22:00放送
チャンネル: 日本テレビ系
出演=杉咲花、成田凌、岡山天音、内堀太郎
脚本=今泉力哉
監督=今泉力哉、山下敦弘、山田卓司

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