1 返戻金の収益計上がなされていないというミス
2 必要な明細書の添付がなされていないというミス
倒産防止共済とは、取引先事業者の倒産に伴う経営リスクをヘッジするため、その加入者に対し、無担保・無保証人で掛金の最高10倍まで借入れができる、という共済制度です。
■倒産防止共済のミス1
話を戻しますが、上記1のミスについて捕捉しますと、倒産防止共済は掛金を経費として認める反面、それを解約等した場合に返戻される返戻金については、全額収益計上する必要があるとされています。おそらくですが、倒産防止共済の掛金を支払ったタイミングと、実際に解約等して返戻金が入金されるまでのタイムラグが大きいため、収益計上する処理を失念した、ということだと思われます。
言い換えれば、倒産防止共済は節税になる反面、その返戻金に対し、返戻時に退職金を支給する、といった出口戦略も必要になるということです。
■倒産防止共済のミス2
次の、上記2のミスについてですが、倒産防止共済の掛金は経費になる要件として、所定の明細書を申告書に添付しなければならないとされており、その明細書の添付がない申告書が多かった、ということだと考えられます。困ったことに、所定の明細書といいながら、最近まで所得税の申告書で添付すべき様式を国税庁は用意しておらず、適宜自分たちで所定の事項を書いた書類を作って提出するように指導していました。
今は様式もできていますので、今後失念することは多くないでしょうが、倒産防止共済の掛金は手続きに厳しいですから、書類の添付もれがないよう、注意してください。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。