2人のアーティストが独自の視点で切り取る都市風景に魅せられる。
3月1日(土)から16日(日)までの期間、東京・渋谷区にあるギャラリー「HARUKAITO by ISLAND」でAIKI氏とKABO氏によるグループショー「写真区 PHOTO DISTRICT」が開催される。
Key Visual ©KABO, AIKI
写真を通じて自らの考えや想いを世に発信
今回、グループショーで作品を披露するAIKI氏は福島県生まれの写真家。
同氏はこれまで、ストリートカルチャーやアクティビズムなど、路上運動の延長線上で作品を生み出してきた。主に写真や詩、ZINEなどの媒体や手法を用いた制作を行っており、“アナーキズムの新たな形を提示するアーティスト”として業界でも注目されている。

Aiki「I will stay for a while I will leave for a while」
一方のKABO氏は、独学で写真を学びフリーの写真家として活動する人物。
同氏は香港と東京を拠点に、ファッション誌や音楽誌、広告、ミュージックビデオなどで独自性のある作品を発表。1998年には香港の映画監督エリック・コット氏による『ドラゴンヒート』のスチール撮影を担当し、以降も精力的な活動を続け、昨年には「Taira rpeTbeinnareTb 第三惑星の秘密」展でレジデンス成果を披露してみせた。

KABO「第三惑星の秘密」
AIKI氏とKABO氏の作品をギャラリーで展示
今回のグループショーにおいて、AIKI氏は自らがスケートボードやグラフィティといった路上で過ごす時間の中で撮影してきた写真を。そしてKABO氏は、自身の拠点のひとつである香港で2014年から2019年にかけて起こった政治運動「あの時のムーブメント後」の日常を捉えた新作シリーズを発表する。
両者の作品は主にスナップショットとなるため、画角やピントを定めた緻密な構図はない。すすけたドアや壁、夜の街に浮かび上がるLEDの光、埃が舞う瞬間といった“日常の断片”を写し出してはいるが、いずれも風景を具体的に留めたものではなく、都市を徘徊しながら直感的にシャッターを切ったことがうかがえる。
ある意味では“何も写っていない”写真ばかりだが、他方では、それらの作品には“写真らしさ”に囚われないニュートラルな感性が反映されていると言っていい。また何も写っていないからこそ、全てが可視化されすぎている現代都市の中で人々が抱く、“内面的な世界への理想”への情念のようなものまで感じ取れる。
さらに、前述の通り“都市を歩き回りながら非計画的にシャッターを押していること”も両者の共通点として挙げられる。
行動を管理され、制約を受けることが多い都市空間の中で、あえて不規則な移動と撮影を繰り返す——これは誰しもが大量の写真を撮影しイメージが氾濫する現代において「写真の豊かさ」を取り戻すための、両者のささやかな抵抗と言えるだろう。
この機会に会場で独自の世界観を持つ2人の作品に触れ、新たな刺激を得てみてはいかがだろうか。
写真区 PHOTO DISTRICT
会期:3月1日(土)~16日(日)※月~水曜は休廊
開廊時間:13時~19時
会場:HARUKAITO by ISLAND
所在地:東京都渋谷区神宮前6-12-9 BLOCK HOUSE 2F
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000057302.html
(IKKI)