クラシック・バレエの不朽の名作『白鳥の湖』が、ロイヤル・バレエ団の新演出版として映画館に帰ってくる。王子ジークフリート役はマシュー・ボール氏、オデット/オディール役はヤスミン・ナグディ氏が務める。
5月16日(金)より全国でアンコール上映がスタート。新たな特典映像とともに、スクリーンで味わう“白鳥の奇跡”が幕を開ける。
ボール氏が語る、“王子の物語”としての白鳥の湖
本作でジークフリート王子を演じるのは、ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、マシュー・ボール氏。彼にとってこの役は、振付家リアム・スカーレット氏による新演出版が初めての挑戦だった。
RBO / Andrej Uspenski
「この『白鳥の湖』は、王子の人生の苦悩を描いた物語なんです」とボール氏。
「白鳥は自由の象徴であり、現実からの逃避、別の世界への入り口でもある。だからこそ、2幕や4幕の美しさには、王子の内面の物語が不可欠なんです」
振付家リアム・スカーレット氏と描いた“深いバレエ”
ボール氏は、スカーレット氏が手がけたこの演出を「原作への敬意と個性が共存する作品」だと語る。
「彼は『白鳥の湖』の伝統を守りながら、自らの感性で群舞やディテールに新たな命を吹き込みました」
特に、最終幕で王子とオデットが交わすドラマティックなパ・ド・ドゥは、クラシックの枠を越えた感情表現にあふれている。音楽の解釈から構成まで、すべてが綿密に構築された“現代の古典”とも言える演出だ。
異世界に触れる前奏曲。“記憶”に残る舞台体験
「前奏曲を聴いた瞬間、僕は王子の中に入り込む」と語るボール氏。
父を失い、義務を押しつけられた若き王子が、白鳥オデットとの出会いによって“夢の中”へ誘われる──それがこのバレエの核心だ。
ナグディ氏演じるオデットについても「想像力を必要としないほど説得力のある存在」と絶賛。長年の共演で築かれた信頼が、舞台上の感情をより濃密なものにしている。
すべてが“物語の深層”を支える舞台美術
本作の舞台・衣装デザインを手がけたのは、名匠ジョン・マクファーレン氏。闇と光、抑制と情熱が同居するステージは、観る者の想像力を深く揺さぶる。
「彼のデザインは、ダンサーの動きを妨げることなく、作品世界を強く引き立ててくれる」とボール氏。視覚と音楽、演技が一体となって、観客の心に長く残る舞台体験を生み出している。
“古典”としての品格と、“現代”としての強度。その両立を見事に果たしたスカーレット版『白鳥の湖』。
バレエファンはもちろん、物語と演技を重視するすべての観客にとって、“映画館で観るべき一作”となるだろう。
ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』
公開日:5月16日(金)~5/22(木)全国上映
公式サイト:https://tohotowa.co.jp/roh/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000016700.html
(山之内渉)