北海道の宇宙開発拠点・大樹町で作られたロケット燃料タンク。その廃材が、サウンドとデザインの粋を凝縮したスピーカー「DEBRIS(デブリ)」として再生された。
金属の重厚さと宇宙の無重力感を融合させたこのプロダクトは、音響体験と素材美の境界を超え、都会の洗練された空間にも確かな存在感をもたらす。リリースパーティーも必見だ。
宇宙の記憶を宿す、唯一無二のサウンドスピーカー
「DEBRIS」は、ロケットの試験用燃料タンクをアップサイクルして誕生したスピーカー。プロジェクトを手掛けたのは、宇宙素材を家具へと昇華させる&SPACE PROJECTと、サステナブルな音響装置を探求する「noon by material record」だ。
このスピーカーは、宇宙の無重力状態から着想を得て、無指向性の構造で360°音が広がる設計になっている。デザインにも徹底したこだわりがある。頂点に浮かぶ球体オブジェは、鉄・銅・アルミを溶かして再構成した金工作家・外山和洋氏による作品。地球の元素である金属を抽象化し、浮遊する鉱物のように仕立てることで、宇宙へのロマンと彫刻的美しさを纏わせている。

音楽と素材の融合が導く、深い体験
このスピーカーには楽曲が収録されているのも見逃せない。北海道・大樹町の風、波、ビーコン音などをフィールドレコーディングし、それをもとにDJ/トラックメーカーのGONNO氏がオリジナル楽曲を制作したものだ。素材と場所、その時間軸までも音に落とし込むという、希少な試みがなされている。
GONNO氏は、国内外で高い評価を受けるアーティスト。JUNYA WATANABE MANのコレクション映像でも楽曲が採用されるなど、独自の音楽性で注目を集めてきた。今回の「DEBRIS」プロジェクトでは、従来の音響装置開発を超え、初の音楽制作にまで踏み込んだ。
収録された音源は、スピーカーの素材構造に最適化され、物理的な響きと一体となるよう設計されている。この“音と器の共鳴”は、単なるインテリアを超えた体験価値を提供し、上質な空間にさらなる深みを加える。音と造形、その両方を語れるプロダクトは、空間演出の中核としても優秀だ。

都会で体感する、宇宙が旅した音の軌跡
6月27日(金)、日本橋のホステル「CITAN」にてリリースパーティーが開催される。DEBRISをテーマに、大樹町から都市へ移動したロケットタンクの軌跡を、視覚と聴覚で体感するイベントだ。
この会場は、世界を旅する人々の拠点として知られ、インテリアや音楽イベントの開催地としても評価が高い。洗練された空間で鳴らされるDEBRISの音で、宇宙や自然とつながる感覚を体感できるだろう。

音を媒介にして、新しい感性のプロダクトが誕生した今、空間デザインの在り方もまた更新されていく。これから見逃せない存在だ。
noon by material record × &SPACE PROJECT presents 「DEBRIS」release party
開催日:6月27日(金)
開催場所:CITAN
所在地:東京都中央区日本橋大伝馬町15-2
時間:18:00~ メディア・関係者向け視聴会/トークセッション
19:30~ 一般向け視聴会
20:00~ DJ PLAY
出演: GONNO、増村和彦
特設サイト:https://debris.and-space-project.jp/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000143290.html
(Fumiya Maki)