伊勢丹新宿店の5階に、“工藝の新解釈”がふたたび登場。昨年に続き2年目となる『藝の工藝展』が、6月18日(水)から24日(火)まで開催される。

今回はデザインハウス〈Anyhow〉を迎え、「工藝=藝術」という視点から、ジャンルを超えて選ばれた10組の作家を紹介。素材や技法に縛られない、“今”の工藝のかたちを提示する

工藝の定義を問い直す、今年のテーマは“藝”

そもそも「工藝」とは何か。実用性か、装飾性か、あるいは伝統か──。

その問いに対し本展では、「藝=精神的価値を植え付ける技」と再定義。単なる“クラフト”にとどまらない表現として、彫金・陶芸・木工・漆芸・和紙など、多様な素材と手法を持つ作家たちの作品を一堂に集める。

『SECTOR#2』 H1200 W1200 (mm), SILK49% WOOL51%, ¥712,800(税込)

会場は大小2エリアで構成され、センターパーク〈大〉では“今の工藝”を体現する8名の作家が集結。〈小〉では天然繊維をテーマに、2組の作家が“植える”という行為を起点とした作品群を展開する。

和紙、ラグ、そして流木──素材を超えた表現者たち

展示には、世界最薄とされる和紙「土佐典具帖紙」を使い、繊維レベルで“植毛”するように表現を構築するアーティスト、Aki Yamanakaや、京丹後発のラグブランド「RÈI」など、素材への眼差しと革新性を併せ持つ表現者たちが並ぶ。

“藝術”としての工藝に出会う7日間。伊勢丹新宿店で特別展『藝...の画像はこちら >>

『Gazer02』F50 (H1167×W910㎜), 木製パネル+土佐楮灰煮典具帖紙+木製額縁, ¥1,870,000(税込)

漆を使い身体性を造形に昇華させる五月女晴佳、陶芸とインスタレーションの境界で価値観を探る野田ジャスミン、詩的なジュエリー作品を手がける小林茉莉など、それぞれが自らの方法で“藝”をかたちにしている。

『SUPPRESSION』 W570 D200 H530 (mm), 漆, ¥616,000(税込)

『ghost_2024_tiger in bamboo forest』H390 W450 D450 (mm), 陶土, ¥660,000(税込)

流木を動物に見立てるヒナイジ ズルや、破損や経年変化さえも取り込む野湧など、従来の工藝像を更新する挑戦者たちの存在も見逃せない。

その“藝”に、心を預ける7日間

素材と向き合うこと、伝統と遊ぶこと、日常に詩を宿すこと。

『藝の工藝展』は、そうした“ものづくり”の原点を、現代の解釈で再提示する場でもある。美術と工藝のあわいにある作品群を前に、見る者の感性が静かに揺さぶられる。

その“藝”に、心を預けてみてはいかがだろうか。

藝の工藝展
会期:6月18日(水)~6月24日(火)
会場:伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5
所在地:東京都新宿区新宿3丁目14-1

公式Instagram:https://www.instagram.com/geinokougei/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000161056.html

(山之内渉)

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