前橋市内にある「まえばしガレリア」にて、ヤビク・エンリケ・ユウジ氏による個展「Tangerine Collapse in the Alley」が8月3日(日)まで開催中だ。

多様な経験や記憶などから抽出されるコラージュワークは、変容する世界の在り方を示唆しており、不完全な世界の中に存在する“美しさ”を抽出している。

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ヤビク・エンリケ・ユウジ氏の生み出すコラージュワーク

ヤビク・エンリケ・ユウジ氏は、ブラジル・サンパウロに生まれ、小学生の頃に群馬に移り住んだ。思春期を経て東京という都市に触れたこと、さらに古書籍に掲載された雑誌のグラフィックやフォントとの出会いが彼に衝撃を与えた。

それらの体験を通して、東京と現在の自分、そしてブラジルで過ごした幼少期の原風景の記憶とが静かに結びついた感覚を得たことをきっかけに、2017年よりコラージュを用いた表現活動を開始。

ヤビク・エンリケ・ユウジ氏の個展開催。世界の在り方を示唆したコラージュワークに注目

2019年に初の個展「FIRST IMPRESSION」を開催し、2022年には自身最大規模の個展「AFTERTHOUGHT」の開催に至るなど活動の幅を広げている。

彼の作品は、自身の多様な経験や記憶などから抽出されるコラージュワークから成り立ち、日常的な物質がイメージの断片と同価値として用いられている。

ヤビク・エンリケ・ユウジ氏の個展開催。世界の在り方を示唆したコラージュワークに注目

その作品から連想されるのは、世界のつながりと多様性。世界との接続を明確に意図した視点と、時空を超えたリアリティが伴い、時にはラディカルな表現が見られることも。

ヤビク・エンリケ・ユウジ氏の個展開催。世界の在り方を示唆したコラージュワークに注目

世界に歪みや違和感を生じさせる、同氏の作品に宿る不完全な世界の中に存在する“美しさ”に注目したい。

世界の“美しさ”が滲み、体験や記憶を呼び起こす作品群

今回の展示会に向けてヤビク・エンリケ・ユウジ氏は、こう語る。

「幼少期に過ごしたサンパウロはやっぱり、無数の音、色、匂い、人の気配が入り混じった、意味が定まらないノイズの海だった。文化、階級、歴史、希望、絶望、あらゆるものがごちゃ混ぜになったまま、輪郭もなく、かたちにならないまま、ただ街に溶け込んでいる。その混沌は、移民として日本に渡った自分が、新しい文化や価値観の中で輪郭を見失いそうになったときの不安と、どこか重なって見えた。」

ヤビク・エンリケ・ユウジ氏の個展開催。世界の在り方を示唆したコラージュワークに注目

サンパウロの混沌とした風景と日本で抱いた不安が重なり合うなかで、彼の記憶は静かにつながっていったという。

制作期間には、たくさんの記憶や思いが交錯したとも語っており、その過程で制作された作品には、彼の内面にある葛藤や繊細な感性、そして世界の“美しさ”が滲む。

ヤビク・エンリケ・ユウジ氏の個展開催。世界の在り方を示唆したコラージュワークに注目

ヤビク・エンリケ・ユウジ氏の内面に触れる同展は、日常や記憶に新たな視点をもたらしてくれることだろう。

Tangerine Collapse in the Alley
開催場所:まえばしガレリア ギャラリー2
所在地:群馬県前橋市千代田町5-9-1
展示期間:6月14日(土)~8月3日(日)
開館時間:11:00~19:00
休館日:日曜日、月曜日
入館料:無料
展示詳細ページ:https://marph.com/en/exhibitions/E-30aeab85-2345-4623-882d-832507e52712-6854ef7503e1a2.34290326

プレスリリース:https://marph.com/pr/N-0c77ee15-1680-48ce-a626-737733d33d04-6854f3305abed4.96765479

(IGNITE編集部)

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