東京・銀座で始まる展覧会「Glow Within -Corneliusと13人の作家の声-」は、知的障害のある作家たちが日々の暮らしの中で発する音や言葉をもとに、Corneliusが音楽を制作するプロジェクト。
会場では、音と映像、そして作家たちの創作風景を通して、彼らの内にある声に、静かに耳を澄ます特別な体験ができる。
日常の音を、美しい表現へと昇華する挑戦
障害イメージ変容と福祉を起点にしたクリエイティブカンパニー「ヘラルボニー」。東京・銀座で開催される同展覧会は、ヘラルボニー所属の作家13名と音楽家Corneliusの共創から生まれた。障害のある人たちが繰り返す“ルーティン(常同行動)”から生じる音や発語を素材に、Corneliusが丁寧に再構築し、ひとつの音楽作品として完成させた。
展覧会の空間では、楽曲『Glow Within』を映像と共に体感できるほか、作家たちの制作風景や息づかいが感じられる構成が魅力。鑑賞者はただ作品を見るのではなく、作家のエネルギーや創造の源にじっくりと向き合うことができる。視覚・聴覚・感性すべてを使い、音とアートを通じて“他者”と出会う機会がそこにある。

撮影:橋本美花
音楽家Corneliusと作家たちの1年半の対話
本プロジェクトの背景には、ヘラルボニーの代表・松田崇弥氏が送った一通の手紙がある。小山田氏はヘラルボニーの展覧会や創業の地・岩手への訪問、作家たちと1年半にわたる交流と共同制作を行った。

撮影:淺田創
知的障害をもつ作家たちの表現は、一般的な文脈や理論を超えて、内面からあふれ出た純粋な線やリズムを持つ。Corneliusは彼らの行動や声に耳を傾け、それを音楽として形にすることで、静かだが力強い“声”を社会に届けようとした。
このプロセスは、ただの楽曲制作ではない。過去と向き合い、偏見や分断を超えて他者と繋がる新たな表現のかたちと言えるだろう。
銀座から岩手へ。音への感性を研ぎ澄ます旅
本展は、銀座の「HERALBONY LABORATORY GINZA」および岩手・盛岡の「HERALBONY ISAI PARK」にて展示される。
銀座会場では、都会の喧騒から離れた静寂な空間の中で、ひとりの鑑賞者として作品と深く向き合う時間が確保されている。一方、岩手会場では、作家たちの原点とも言える土地での展示となり、本プロジェクトの本質や背景により深く触れることができるだろう。

感性を大切にする大人たちにとって、この展覧会はただの芸術体験にとどまらず、他者との境界線が音とともにゆるやかに解けていく、そんな特別な場となるはずだ。
Glow Within -Corneliusと13人の作家の声-
HERALBONY LABORATORY GINZA (東京)
会期:7月24日(木)~8月11日(月)
所在地:東京都中央区銀座2丁目5-16 銀富ビル1F
HERALBONY ISAI PARK(岩手)
会期:8月30日(土)~9月26日(金)
所在地:岩手県盛岡市菜園1丁目10-1 パルクアベニュー川徳 1階
※会期中、作品の入替えあり
『Glow Within』Cornelius HERALBONY
楽曲:https://cornelius.lnk.to/GlowWithin
配信元:ワーナーミュージック
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000440.000039365.html
(Fumiya Maki)