誠文堂新光社が8月8日(金)に『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』を刊行する。

同作は、昨年刊行され話題となった『子供の科学完全読本』の続編。

前作は大正から終戦までの出来事を主に取り上げていたのに対し、同作は戦後の高度経済成長期にスポットを当て、さまざまな“科学”を紹介している。

かつて人々が科学をどのように受け止め、どのような未来を胸に描いていたのかがわかる興味深い一冊だ。

昭和の“科学”について振り返る、小飼弾著『子供の科学完全読本...の画像はこちら >>

IT業界の第一人者が、かつての“科学”を振り返る

『子供の科学完全読本』シリーズは、投資家兼プログラマーとして活躍する小飼弾氏が著者を務める書籍。

小飼氏はかつて、ライブドアの前身であるオン・ザ・エッヂの取締役最高技術責任者を務めた人物で、同社の上場に大きく貢献。同作以外にも、『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)、『「中卒」でもわかる科学入門』『未来予測を嗤え! 』(いずれもKADOKAWA)など多数の本を手がけてきた。

小飼氏は8月に刊行する『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』の執筆にあたり、膨大なバックナンバーを再読。科学技術史を丁寧に紐解いた。

世界情勢を反映する宇宙開発競争!

誌面は朝鮮戦争からスタート。冷戦のなかで激化する宇宙開発競争を取り上げ、世界情勢と科学が密接に結びついていた当時の空気について触れる。

とりわけ注目したいのは、1957年にソ連が打ち上げた人工衛星「スプートニク」に関する記事だ。たったひとつの衛星が世界中を驚かせ、以後のテクノロジーの発展に大きな影響を与えた。

昭和の“科学”について振り返る、小飼弾著『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』

毎月のように掲載されていたアポロ計画に関する解説記事も面白い。

昭和の“科学”について振り返る、小飼弾著『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』

新幹線を通じて未来への夢を膨らませる

高度経済成長期といえば、東海道新幹線の開通などをはじめとした移動手段がいっきに発展した頃。リニアモーターカーや電気自動車、自動運転に関する特集も数多く組まれており、未来に胸を膨らませる人々の熱気が誌面からも伝わってくる。

昭和の“科学”について振り返る、小飼弾著『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』

昭和の“科学”について振り返る、小飼弾著『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』

昭和の“科学”について振り返る、小飼弾著『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』

一方で、高度経済成長の裏側にあった公害、石油危機、交通戦争といった社会問題にもフォーカス。

排気ガス、光化学スモッグ、東京湾のヘドロといったキーワードが目を引く。

この点で、著者の小飼氏は、当時「このままでは都心に人は住めなくなる」と警告していた記事を引用。“今もなお、東京では快晴の日に富士山が見える”という現実と重ね、「科学が社会を変えてきた」ことへの希望を示してみせた。

さらに同書は電子書籍版で、1983年に掲載された「2003年 未来の生活」を丸ごと収録。当時の未来予測のアタリハズレを自身でも確認してみてほしい。

IT業界を牽引する2人が特別対談

後半には豪華対談も収録。「日本のインターネットの父」として知られる村井純氏やサイボウズ社長の青野慶久氏が登場し、ネット黎明期やコンピューターとの出会いについて語る。

昭和の“科学”について振り返る、小飼弾著『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』

昭和の“科学”について振り返る、小飼弾著『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』

子ども時代に描いた夢が現代にどうつながっているかを教えてくれる『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』。科学技術史をわかりやすくまとめた、資料的価値も高い一冊と言えそうだ。

子供の科学完全読本 高度経済成長期編
価格:2,750円(税込)
体裁:B5判/208ページ
書籍ページ:https://www.seibundo-shinkosha.net/book/general/94416/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001762.000012109.html

(IKKI)

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