漆芸作家・池田晃将氏による新作発表の個展「池田晃将の螺鈿」が、9月5日(金)から9月21日(日)まで銀座一穂堂で開催される。

奈良時代から存在する螺鈿技法に現代科学技術を取り入れ、「数字」をモチーフにした革新的な作品で注目される池田氏が、開発期間7年のミクロの螺鈿技術を駆使した最新作を初公開する。

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「青貝八千文長棗 」 H8 x W5.3 x D5.3 cm

花鳥風月に代わる「数字」という新しい美意識

池田晃将氏は、昔ながらの花鳥風月の意匠に代わり、世界中の誰もが理解できる「数字」という記号を螺鈿に用いた。貝殻をレーザーでカット、超音波で揺らしながら極小の貝片を磨き上げ、漆の器に「数字」や「信号」状の文様として配置していく独自の手法を確立。

さらに集積回路やピクセルなどを極小の貝片にカットして組み込み、「デジタルと自然」「有機と無機」が交差する唯一無二の表現を生み出した。

池田氏が「数字の美」にたどり着いた背景には、高校時代にネパールでの世界遺産修復活動に参加した体験がある。

バクタプルやアンコールワット、ケルン大聖堂など、世界各国の宗教建築の装飾美に魅了された池田氏は、「遠い昔の人間の手が生んだ装飾に、いまの自分が触れ、圧倒される。そんな時を超える美を自分も作れないか」と考えるようになったという。

デジタル世代に生きる彼が選んだモチーフが、”情報時代”の象徴ともいえる「数字」だった。

伝統技法とデジタルが融合する新しい美。個展「池田晃将の螺鈿」が銀座一穂堂で9月5日から開催

掌に乗る「未来の遺物」のような作品

池田氏の作品では、茶器、香合、小箱といった工芸品に、数字やデジタル信号、半導体のような人工的な幾何学模様が螺鈿として輝く。木曽檜の素地に漆を塗り、ミクロサイズに加工された真珠層の貝片を組み込んだ作品は、掌にのせると軽やかで、しかしどこか「未来の遺物」のようでもある。

過去より受け継がれる伝統を現代の人間が表現し、未来へと繋がる、時空を超えた美しさが表現されているのだ。

池田氏の作品は、9月12日(金)から9月14日(日)に開催される国際的アートフェアア「Tokyo Gendai」のIppodo Gallery Tokyoのブースでも展示される。

同イベントでは、銀座一穂堂所属の代表作家として、個展では見ることのできない新作を展示予定だ。国内外で注目を集める池田の活動を、個展とアートフェア両方で見ることができる貴重な機会となる。

伝統工芸の新しい可能性を追求する池田晃将氏の最新作を、実際に体感してほしい。

伝統技法とデジタルが融合する新しい美。個展「池田晃将の螺鈿」が銀座一穂堂で9月5日から開催

池田晃将の螺鈿
会期:9月5日(金)~9月21日(日)
会場:銀座一穂堂
所在地:東京都中央区銀座1-8-17 伊勢伊ビル3F
公式サイト:https://ginza.ippodogallery.com/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000166799.html

(春緒)

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