歌川広重、国芳、小林清親、川瀬巴水──。時代とともに進化を遂げた浮世絵の名作を紹介する特別展「知られざる秀逸コレクション」が、長野県・小布施町の北斎館で開催中だ。
足立区立郷土博物館のコレクションから選りすぐりの作品を集めた、リピーター割引*ありの連続展示となっている。
歌川派の全盛期を追う、第3期の見どころ
第3期のテーマは「歌川派の全盛」。幕末の浮世絵界を席巻した歌川一門の作品が揃う。三代歌川豊国による「隅田乃蛍狩」では、蛍舞う隅田川の納涼風景が細やかに描かれ、国芳の「酒呑童子退治の図」では豪胆な武者絵の世界が広がる。

歌川広重「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」
歌川国芳 「大江山酒呑童子退治の図」
なかでも注目は、広重の代表作「名所江戸百景」。大胆な構図と緻密な遠近法で、江戸の風景に臨場感をもたらす人気シリーズだ。「深川洲崎十万坪」「大はしあたけの夕立」など、技巧の冴えが光る36点が展示される。
色彩と陰影が描き出す、明治・大正の新版画
9月6日(土)から始まる第4期では、明治以降の新版画に焦点を当てる。月岡芳年「東京自慢十二ヶ月」や「月百姿」など、色彩感覚に優れた作品に加え、小林清親による東京の街並みの移ろいを捉えた風景画が登場。

月岡芳年「東京自慢十二ヶ月 六月 入谷の朝顔」
小林清親「大川岸一之橋遠景」
また、川瀬巴水「甲州梁川」や小原古邨「柘榴と鸚鵡」では、精緻な木版技術を継承した新版画の魅力が味わえる。空摺りなど伝統技法を活かした繊細な表現も見逃せない。
時代を超えて受け継がれる浮世絵の美に触れる夏
会場の北斎館は、葛飾北斎ゆかりの地・小布施に位置する美術館。本展では、約1000点の所蔵品から毎期展示替えを行いながら、浮世絵の多様な魅力を紹介している。
幕末から明治、そして昭和へ──。時代の空気を写した名品に出会う夏の文化体験として、訪れてみてはいかがだろうか。
知られざる秀逸コレクション
会場:北斎館
所在地:長野県上高井郡小布施町大字小布施485
会期:5月24日(土)~10月5日(日)
第3期:8月2日(土)~8月31日(日)
第4期:9月6日(土)~10月5日(日)
時間:9:00~17:00(入館受付は16:30まで)
休館日:各期中無休 ※展示替え期間は常設展のみ
入館料:大人1,500円
公式サイト:https://hokusai-kan.com/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000116693.html
(山之内渉)
*半券の提示でリピーター料⾦で⼊場可能